大都会騒動顛末記 第二話「スペース東京駅大捜査網」

結局ハカセはスペース品川ではなく、スペース東京まで来れるということが分かった。
どうやら切符に品川と書いてあったということで慌てたらしい。コッチのほうが慌てたのだが…。
で、それにしても到着は11時53分。
「…なんか合流前に疲れたでござる」
「僕も…」
「同じく…」
やつれた顔をした拙者だが、ここである事に気がついた。
「…そういえばアヤツのことを忘れてたな」
思い出してそそくさと携帯コミュニケーターのキーを叩く。正直、この携帯端末、使い勝手があまりにも良くない。というか、拙者の手には非常に使いにくい。普通のキーボードならもちっとマシなのだが…。
「ZANさん、どしたの?」
「いや、連絡がないのでちょっとな…」
「アヤツって?」
「ラファエル殿でござる。そろそろ着く頃かと尋ねて見た」
「そういえばワスレテタね…」
フィロがああ、という顔でいう。
「なんか兄さんだけでもこんだけ疲れるのに…」
いうな、そんなこといわれたらもう何もかも投げ出して帰って寝てしまいたくなる。
(ぴろりろりん♪)
なんとなーく読みたくない予感に襲われつつも、拙者はラフからのメールを開いた。

AM11:33『ああ、もうすぐ着くようだ。行き先間違ったヤツに乗ってなかったようだ、
     さすが俺!! さすがナイスガーイ!!』

「…帰ろうかな」
「ざ、ZANさんまってーー! ボクたちを置いていかないでーーー!」
「ええい、放せマメ!」
「マメいうなーーっ! 帰るなーっ!」
「まあ、着くんだからいいんじゃない?」
「…なんか、冷ややかでござるなフィロ殿」
「うん、まーねー…コレで終わると思えないし…」
ぼそりと呟いた後半は拙者たちには聞こえなかった。
そして、11時40分。到着時間になった。拙者たちは南口乗り換え口で待機。ラフを待っていた。
と、またメールが届く。

AM11:43『ついたが、ハテ、ここは…?』

この文章でナニを別れというのだ、あのイヌは。付近に目立つ物がないか問い合わせのメールをもどかしい指で打つ。

AM11:49『んー。清算書の近く? すぐ近くにはスペース新幹線紀香江口とやらが見える』

スペース新幹線紀香江口…あ、乗換え口か…ってその乗換え口がどの乗換え口なんだか判らんではござらんかっ。
南口にいるのか? なにか目印はないのか?!

AM11:52『南…。どこが南だ?! つか天災さんと合流するよ。もう着くらしいし』

現在位置もわからんやつがどうやって合流する気だ。つか、どこにいるんだよ?!
でも確かにそんな時間で―――(ぴろりろりん♪)―――お、ハカセか。

AM11:57『着いたぞ』

ふう、これでようやく合流が ―――(ぴろりろりん♪)―――お、ラフだ。

AM11:58『えーと白いカバンで黒い服』

…誰がお主の格好を聞いているっ。そうじゃない! 目立つ構造物はないかと尋ねて―――(ぴろりろりん♪)―――お、ハカセか。

AM11:59『ええと、八重なんとかだっけな?』

軽い頭痛を覚えたが、それを隠しつつ朗らかに言う。
「なあ、フィロ殿、携帯打つの変わってくださらんか? 拙者指が痛くなってきた」
「がんばってね」
うわぁ、すっげぇいい笑顔。全然変わってくれる気ねぇでござるな。
「アス」
「パス」
…いいよ、いいよ、判ったでござるよ。拙者は向きになって携帯端末を覗き込み、キーを叩く。
とにかくハカセは八重洲口の方へ。ラフはまず現在位置を確認するでござる。
ラフからのメールの方が早かった。

PM12:00『22番戦から降りた清算書の近くだな』

「よし、じゃあまずはそっち行かなきゃね」
アスがそう言って自分のコミュニケーターを取り出すと、駅の構内見取り図を呼び出す。
「…ねぇ、ZANさん。22番線の清算書近くって言ったよね」
返事に躍起になっていた拙者が顔を上げると、アスは難しい顔をしていた。
「そうだが…どうした?」
「清算所ってやっぱり南乗り換え口と中央乗換え口にあるよ」
…で、当然22番線に上る階段もりょうほうにあるのでござるな。うむうむ。そんなこったろうと思ったでござる。
なんだろう、この脱力感は? フィロはもう座り込んでいた。
拙者は目印を尋ねた。『…目印は?』と。
返事は程なく返ってきた。

PM12:02『んー、わかってないのに余裕見えそうなのが目印』

だーかーらー! 誰がお主の事を聞いているっ!!
拙者の忍耐の限界点が近くなった時、今度はハカセからメールが届いた。ソレも立て続けに三本も。

PM12:05『さ、ついたようだ』
PM12:06『 』
PM12:07『中央乗り換え出口だよな?(汗』

本人の慌てっぷりが伝わってくるようなメールラッシュである。
その甲斐もあって、ようやくハカセと合流。
お互い初の一般区画での会合である。ハンター区画で会うのとはまた異なった感慨が浮かぶ…そんな余裕はなかった。
「よ、よかった、ようやく会えたな」
「フフフ、兄さん、こんなに心配させてくれて…やっぱりオシオキだよね?」
ゆらぁっと立ち上がるフィロ、だが拙者はげんなりしながらソレを止めた。
「気持ちはわかるがな、フィロ。ラフと合流してからにして下され」
「えーーーー」
すっごい不満そうだがここは会えて耐えてもらった。とにかくラフと合流しなければ…時刻は既に12時半を回っている。…ここまで来てはもはや致し方ない。ラフと合流を果たす為、拙者は最後の手段に出た!

(ぴっぽっぱ)

『ワフ?』
「あ、もしもしラフ? 拙者でござる。今ドコに…」
「…最初からそうすればよかったジャン」
なんかそうすると負けのような気がしたのだ、アス。

つづくっ!

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