大都会騒動顛末記 第四話 灼熱のハイランド動物園

食事を終えたあと、次なる目的であるハイランド動物園へと拙者達は向かった。
本来はこのあとパイオニア東京タワーへと向かうつもりだったのだが、まだ日が高く、時間的にも余裕があるということで、時間潰しにと向かったのである。
地下鉄に揺られること数分、ハイランドへと降り立った拙者達はまたもや灼熱の太陽に焼かれることになる。
「うあ、あぢぃ…」
フィロ殿がうめき声を上げる。
商店街を抜けて動物園へと向かう道中も日差しは容赦がない。
信号待ちで立ち止まるたびに、拙者達は日陰を求めてさまよう。するとハカセがふと口を開いた。
「…ZAN、お前なんで日陰にいる?」
「そりゃ、暑いからな」
「私のような繊細なFOはともかく、お前のような武骨なロボが涼を取るなど言語道断不届き千万」
言うが早いかささっと後ろに回り込み、拙者を炎天下に突き出した。てか、普段のハカセからは考えられない腕力?! 一体何が?!
「って、暑いのでござるが…」
じりじりと照りつける太陽。焼ける装甲。
「ははは! この日陰は私が頂いた!」
「………」
「兄さん壊れてるねー」
「ほんとだねー」
フィロ、アス、見てないで助けて欲しいでござるのだが…。
そうしてハイランド動物園に着くと、拙者達は観光客を縫って様々な動物達を見る。
が、ほとんどの動物は暑さの為か身動き一つしない。快適な室温に収められているパンダが、のんべんだらりと笹を食っていたくらいである。
「やっぱハイランド動物園といえばパンダだよねぇ」
アスが何が楽しいのか分からぬがそう言ってうなづいている。
「『客寄せパンダ』というセリフもあるくらいでござる。日本に来た当時はここら辺はすごい行列だったのでござろうな」
拙者も感慨深げにうなづいてあるものを見つけた。在来パンダの系譜図である。
「………むう」
「なに? ZANさんナニ見てるの?」
「いや、系譜図なのでござるが…こうしてみるとまるでーーー」
「まるで?」
「横溝正史の世界のようでな」
「あー、『本陣殺人事件』とか?」
「そうそう、『女王蜂』とか『犬神家の一族』とかな」
しかもそろいもそろって死んでるし。
ふらふらとトリ・パンダ・トラ・サル・ゴリラと見て回ってくる。灼熱地獄はMAX寸前であった。
「ダメ…。ボクもうダメ…」
フィロがもうへろへろになって萎れ始めた。
「ワフ…あづい」
ラフも結構きつそうだ。ハカセに至っては
「………」
言葉すらない。結構深刻だ。
「どうしたものかねぇ」
まだぴんしゃんしてるのはアス位である。
「ふむ…」
拙者達が思いあぐねているとフィロががばっと顔を上げた。
「ぺんぎんー」
「?」
「ペンギン見に行こう、ペンギン」
「いや、この暑さではペンギンもだれているのでは・・・」
「大丈夫、このパンフにちゃんと『冷房の効いた部屋で快適に管理されています』ってかいてあるものっ」
俯いてたのはそれでか。で、その『冷房』の一言にラフとハカセの顔にも精気がよみがえる。
「れ、冷房・・・」
「れ~い~ぼ~~う」
いや、どちらかというとゾンビ?
とにかく拙者達はそのペンギンブースへと向かった。
ぺたり
そこは、たしかに快適だった。
ぺたり ぺたり
外界とは隔絶された空間、室内に見える温度計の数値はむしろ寒いと感じるほどである。
ぺたり ぺたり ぺたり
快適そうだった。ペンギン達は。ガラス1枚向こうのペンギン達は。
拙者達の後ろを子供連れのおばちゃんが飼育員のおっちゃんに声を掛けている。
「あの、ペンギンが見れるところは冷房が効いていると聞いたのザマスが?」
「ええ、こうやってペンギンの檻は特殊な冷房室になっていまして、快適に保たれているんです」
「え、じゃあここがそうなのザマスか?!」
「はい、そうです」
ガラス1枚向こうは極楽こちらは地獄。炎天下の攻撃はMAXに達した。
拙者達はほうほうの体でハイランド動物園を後にし、涼を頼みにファミレスへと逃げ込んだのであった。
つ、つづくぅぅ

スポンサーサイト

Comment

Comment Form
公開設定