たまにはユーグ殿のことも思い出してください…


その日、拙者達はいつものようにメンツを集い、既に慣れたといってもいいルートを巡り、クレーター中心部へと向かうことになった。
「ん? ユーグ殿、それはなんでござる?」
拙者はユーグ殿がなにかを懐から出してるのを見て声をかけた。
「んー。家族の写真ー」
「…ベタだな」
「ベタでござるな」
「ベタね…」
ハカセと拙者、そして聖心がそれぞれに呟く。

4人コースだったので殲滅ルートを巡る。
すでに慣れたという感もあるコース、敵である。
クレーター外周を制圧し、内部へ、そしてその中でも4人でないと回れないエネミーの群集するマップへと進む。他とは比べ物にならないほどの敵がここには生息する。乱戦の最中、ユーグ殿だけが突出していた。
「ユーグ殿、危ないでござるよ」
「なぁに、コレくらいは大丈夫っ!」
ユーグはFomer 人間・フォース・男性。俗に『殴りFO』と呼ばれる前線で戦闘するFOである。
通常後方にてテク中心に戦闘、支援を行うFOとは違い、前線で武器を手に敵と戦いつつ、テクを放つ。攻撃力は自前のシフタ、デバンドで強化して行い、回復も自前の強力なレスタで行える。またテクを使える利点として敵エネミーの弱点属性を突いた攻撃が可能だった。

だがその反面HPも防御力も少ない為、常に死と隣り合わせの最も危険なポジショニングといえる。パイオニア02においても全FOの中で殴りメインをメインにしている割合は消して高くはない。望んで殴りFoになろうというのは非常に稀であった。

そんなユーグが前線で果敢に戦っていた。ギゾンデ、ラフォイエ、バータを使い、手には愛用のジラソーレを持ち、地を埋め尽くす敵を前に、獅子奮迅の戦いを展開していた。
支援を後衛である聖心、ウィケッドに任せ、ZANと同じように、いや、それ以上の活躍を見せていた。ZANのような一撃の重さこそないがテクによるブースト、そして集団への攻撃とその殲滅スピードは目を見張る物があった。
「ユニットまで変更して特化してますからね」(ユーグ談)
だが、そんなユーグにも弱点があった。
迫りくるアスターク。大物エネミーの攻撃力は半端ではなく、FoのHPはあっという間に削られていく。
「ユーグ!」
その様子を遠くから見ていたウィケッドがレスタを唱える。
が、届かない。
「はっ! しまった、装備変更が!!」
レスタ距離を伸ばす装備は迫りくるトカゲ対策でデモニッシュフォークに換えられていた。
「聖心殿!」
ZANが横にいた聖心に声をかける、がZANとユーグの距離が離れすぎていたため、聖心のレスタも届かない。
「う、うわあああ!」
だが。
その瞬間。
全員のステータスウィンドウからユーグの反応が消えた。

「え、えーと…」
「つまり」
「落ちたわね」

ユーグの弱点、それは脆弱な回線状態にあった。

さようならユーグ殿、拙者達はお主の犠牲を忘れない…。

その後、地下砂漠を走破し、拙者達はクレーターの中心部へと向かう大型ゲートの前までたどり着いた。
「よし、と、到着だな。と、とりあえず補給してくる」
さすがにここまで到達すると全員疲労の色が濃い。FOはとくにTPを回復するフルイドの消耗が激しかったため、ここでリューカを開き、最後の補給を行う。
まあ、ハカセがげっそりしてるのは油のせいかもしれないが…。
拙者と聖心はリューカの前で待っていた。
『あああああ;』
通信機をなんとも切ない悲鳴がこぼれだす。
「?!」
「?」
『…まあ、予想していた』
拙者には何の事だか判らない、諦めに満ちた声。
その声にピンときたのは、やはり同じFoの聖心だった。
「…店売りする事を?」
『…うむ。故に店売りしてしまう可能性のある上or下の方の杖を割りと痛くない奴にした。』
「おおう」
そこでようやく拙者もウィケッドが拾ったアイテムと間違えて自分の愛用の装備を売却してしまったのだ。
『んでもやはり痛い;』
「何売ったのさ」
『ZANから頂いたHITディヴァイン』
「拙者のやった奴か!」
「あー、グライドデヴァインね…余ってたかなぁ」
なかった。
「まあ、私がハカセの変わりに回復やればいいわね」
「頼むでござる…まあ、行こうか」
拙者達は最深部へとむかった。ここに、我らが求めるレアエネミー。コンドリューがでるという。
だが、あくまでレアエネミー。その出現率は限りなく低く、拙者とウィケッドが何度となく挑戦しては夢破れてきた。
「ううう、代償お願いしますよ?」
ウィケッドが呟く。おいおい、グライドデヴァインの代償にコンドリューなんて…
「シャゲーーー!!」
え?
「!!!」
拙者は目を疑った。薄い緑のニクい奴。コンドリューである。そう、マチガイナイ。
そうとなったらHucast。0と1の男である。切り替えは早い。
拙者は愛用のチャージマシンガンを握りなおし、敢然と立ち向かった。
「ほーっほっほっほ」
聖心がここぞとばかりにテクを撃つ。
ブースト全開である。
「雄々々々々ッ!!」
拙者も負けじと全開。
無論コンドリューに勝ち目はなかった。そして―――
「ZAN」
「ん?」
ウィケッドが指差す先には赤い物体があった。
「ハカセ、ヤッチャッタねw」
「もしそうであれば大いに満足だ」
涙を堪えてウィケッドが言う。
こうして、拙者はハカセのグライドディバインと引換えに念願のラムダージャンを手に入れた。
大きく天に掲げた銀の刀身がきらりと輝いていた。大空に浮かぶ、涙に咽ぶユーグ殿をバックに…

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