炎と花びら

  彼は永久に花びらになれない。そしてアミラも永久に人間にはなれないのだ…。
  (眉村卓著・司政官 全短編『炎と花びら』)


その日、拙者はパラメーターを変更した後、クルセ殿に誘われて、彼女の友達と遺跡に篭っていた。
受けたクエストは「遺跡荒らしを追い出せ」。ポピュラーなLv稼ぎになっている。

パラメーターを変更したおかげで回避と戦闘速度が大幅にアップした拙者は、そのおかげもあって
使い慣れた二丁拳銃を駆使し、それなりの戦果を挙げていた。
もっとも、拙者が一体倒している間に、クルセ殿は2体の敵を確実に血祭りに上げている。
…クルセ、恐ろしい子。(ガラスの仮面口調)

真っ白な目でそんな彼女を見ていると、遠方からコダマーが突進してきた。
すかさずガン・ディレイキャンセル(DC)をかけ、コダマーを狙い打つ。
パパンッ パパンッ パパンッ パパンッ
高速射撃、二丁拳銃の為常に二回攻撃になるそれはあっというまにコダマーを蜂の巣にしてしまう。
結局突進してきたものの、コダマーは拙者に接敵することも適わずその場に崩れ落ちた。
だがその間にクルセ殿はまたスカイレイダーとバンデットを血祭りに上げ、さらにはフォックストロットに躍りかかっている…。
目が怖い。

拙者も先輩として、また上位Lvの者として負けてはいられないと新たな敵ーーーフォックスハウンドに狙いを定め引き金を引く。
パンパン カチッ。
「おろ?」

フォックスハウンドも拙者も?という顔。まあ、ガトリング砲メカのどこが顔化と言われれば「ここらへん…?」としか答えられぬのだが。
銃をしげしげと見つめる拙者。あ、弾切れだ。がしょんがしょんと寄ってくるフォックスハウンド。
拙者は慌てず予備の弾を…って懐の中も空っぽ? 矢筒の中…あ、……ない。
ちゃぁぁんす、という風にフォックスハウンドがにたりと笑う。まあ、ガトリング砲メカのどこが(以下略)

拙者はしかし慌てず騒がすサイドアーム(予備武器)を引き抜く。うむ、備えあれば憂い無し。
引き抜いたのはショーテルという小剣である。拙者はそれを構えるとうそぉぉん!という顔をしているフォックスハウンドに襲いかかった。
ガンッ 硬い音を立てて鋼と鋼がぶつかる音が響く。ダメージは、…いける!
拙者が小剣を振るう。フォックスハウンドも負けじとガトリング砲をまき散らす。
バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ ババババババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ ババババババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ ババババババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ ガンッ バババッ バババッ MISS! バババッ バババッ ガンッ バババッ ババババババッ Avoid! バババッ バババッ ガンッ ガシャーン…

「むう…」
長い、長過ぎる。小剣での戦闘時間がここまでとは想定外だった。
こうして拙者がフォックスハウンド一体を相手にしている間にクルセ殿は---(以下あまりにむごい描写の為、検閲削除)。

殲滅力が圧倒的に足りなかった。せめて、そう、せめて---
「---ディレイキャンセルが欲しい」
ポツリと拙者が呟いたのを、一緒に狩りをしていたクルセ殿の友人、BlackRose殿が聞きとめた。
彼は一言で言うならパンダである。
なにも者のたとえではない、見た目がパンダマスクなのである。パンダマスクを愛し、パンダマスクを誇り、パンダマスクを被り続ける孤高のアサシン…それがBlackRose殿である。
多分町行く彼の友人を捕まえても10人が10人、彼を名前で呼ぶことはないだろう。
「斬さん、ディレイキャンセル、いる?」
「おおう?」
そう、アサシンである彼は一時職のスカウトスキル・ショートソードディレイキャンセルを持っているのだ。
高速戦闘がウリのアサシンである彼が憑依し、そのスキルを使えば、当然その効果は宿主の拙者にも付与されるのだ。
「では早速えっと、俺がもってるのは憑依アイテムだからこれは使えないんで」
ぽいっと投げ落とす。
「で、俺がこっちにつくと…あ、斬さんLvたりないか」
彼の持ってる小剣はLv90の品、拙者レベル89。(爆)
「んじゃ、その短剣に憑依させてもらうな」
「かたじけない」
そうこうしてる間にクルセ殿はあたりを真っ赤に染めている。あ、自身も真っ赤でバーサークでござるな。

と、気がつくと目の前からパンダが消えた、そして拙者が握りしめる剣からパンダの声が聞こえる。
「OK、やってみよう」
「承知!」
早速フォックスハウンドの前にたつ。やんのか、コラという顔でこちらを睨んでくる。
こんどはさっきのようには行かぬぞ…。
拙者が一歩前に出ると、BlackRose殿がDCをかけると同時だった。
「参る!」
ガガガガガガガガガ!
パタリ。
倒れたのはパンダだった。
「なっ?!」
拙者びっくり。
「?」
フォックスハウンドもびっくり。

「初っぱなの範囲攻撃が全弾貫通した…ガクッ」

パンダはそう言って息絶えた。
拙者には、ショートソードディレイキャンセルは難しいらしい…。

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