星を継ぐもの・追悼、ホーガン先生

ホーガン先生、ありがとう


 ひさしぶりの更新がこのような内容になってしまって大変遺憾ですが、これも一つの機会と思い、取り急ぎ投稿しました。

 先日、SF界の巨匠、J・P・ホーガン先生が逝去されました。正式な発表は下記に。
 東京創元社の告知ページへのリンク

 ホーガン先生の解説などはWikiなどに譲るとして、氏の作品と拙者について…。

 学生時代、図書室で本の虫だった拙者は様々なジャンルの本を読み漁りました。事に推理小説、冒険小説、SF小説が大好きで図書室の棚はほぼ制覇しました。
 その後、街の大型書店でそうした書籍を立ち読みしたり、購入したりするようになりました。今では多く見かけるラノベの先駆である朝日ソノラマやハヤカワ文庫。スペースオペラと呼ばれる名作シリーズや不朽の名作を多く持つ東京創元社…。
 そうしたスペースオペラに隠れて、ひっそりと置かれてた本がJ・P・ホーガン先生の『星を継ぐもの』でした。

<文庫紹介のあらすじ(東京創元社の文庫まえがきより)>
 月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行われた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、五万年以上も前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見されたが……。ハードSFの新星ジェイムズ・P・ホーガンの話題の出世作。

 「星を継ぐもの」は今まで読んだどんなSF小説とも、冒険小説とも違いました。
 主人公はこの死体を調べる為、呼ばれた科学者の二人。
 彼らは卓越した頭脳の持ち主ではありますが戦いません。
 ええ、戦わないんです。なにとも。宇宙人とも対峙しませんし、国際的な陰謀にも、事故にすら巻き込まれません。

 つまり主人公たちのアクションシーンなど一切ないのです。

 では本書は学術論文的に淡々と進むのか? というとそんなこともありません。謎解き、さらに深まる謎、新たに発見される事実、解読が続く日誌、そして新たに発見された宇宙船の謎…。読めば読むほど、拙者はグイグイと内容に引き込まれました。
 主人公のハントがたどり着いた全てを繋ぐ理論。それはインスピレーションによるものでした。木星の衛星ガニメデの地表で、ひとり巨大な惑星を見上げ、その理論にたどり着くシーンは想像するだに圧巻です。その後の理論説明会、居並ぶ研究者たちがハントの説明を聞いて「そうか、そうだったのか!」と激しく納得するシーンがありますが読者も全く同じ状態です。それこそ腕を振って部屋の中を歩き回りたくなるような興奮。そう、知的興奮です。
 そしてエピローグ手前。もう一人の主人公であるダンチェッカーがやってくれます。そして「星を継ぐもの」のタイトルへと繋がるのです。
 本書の題名である「星を継ぐもの」の意味を理解した時、その興奮は最高潮を迎えました。
 SFとは、サイエンスフィクションとは、こういうものなんだと、打ちのめされた感じでした。
 「星を継ぐもの」を読了すると。拙者はすっかりファンになっていました。拙者にとってJ・P・ホーガンは尊敬する作家、ホーガン先生となったのです。もうその後は出ている本を全部買い込み、続編があると知ればその翻訳を渇望し、短編が過去のSF雑誌に載っていたと聞けば図書館をはしごしてその号を探したりしました。

 知的興奮を与えてくれたホーガン先生の作風はとても人間を愛していました。どの作品もそうですが「この星を継ぐもの」に続くガニメデ三部作はそれがよく感じられます。そこが先生の作品を単なる論理思考実験から我々が愛することのできる小説へと昇華させている部分でしょう。

 こうした作品群に出会えたことをとても幸福だと考えると共に、もう新しい作品を読むことができないのかと思うと残念でたまりません。今にして思えばファンレターの一つでも出していればと悔やむばかりです。

 知的興奮がほしいとおっしゃる御仁に自信を持ってお薦めするハードSF、それが「星を継ぐもの」です。未読の方はぜひどうぞ。
 皆さまに手に取って頂ける事をもって、拙者のホーガン先生への追悼の意を示すものとさせていただきます。
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