PSO食いしん坊万歳(マンセー)01

その日、拙者が部屋を整理していると古いアーカイバの中からあるものを見つけた。
「ふむ、これは…」
そう、それは過ぎ去りし遠い過去の思い出。はるかな記憶の断片。途絶えることない千年紀のーーーとと、なんか別の電波を拾いそうになったぞ?
しかしこれがあればハカセたちに拙者のことを証明できるな…。
そう考えて、拙者はそれを手にしたまま、行きつけの喫茶店ハイランドへ向かった。

「で、そのファイルがなんだって?」
ハカセが怪訝そうに尋ねる。
「いや、だからこれが、拙者がフードハンターだったということを証明する品なのでござるよ」
拙者がふふん、と鼻を鳴らすと、ラファエルとアスバルがひょいとそのファイルを持ち上げる。
「じゃ、なんか食材の詰め合わせでもはいってんの?」
「あれだ、きっとレシピかなにかが詰まってるとか」
「…ラフ、アス、そうではござらん。ええい、とにかくみればわかるのでござるよ!」

■第一回 ヒルデベア鍋

皆さんこんばんわラグオルの郷土料理を紹介するPSO食いしん坊万歳(マンセー)。
本日は森の栄養満点のヒルデベア鍋です。では、講師のTatsu@先生、よろしくお願いします。

「よろしくお願いします」

では早速料理に入りましょう。

「…AYUさん」

はい?

「その大剣は料理には向かないのでは…?」

そんなことないよー。

「…そうですかー」(基本的に女にアマイ(爆))

では、まず材料の確保ですね。

「はい。ヒルデベアは種としての個体数も少なく、生息域も限られている貴重な食材です」

では、現地調達員のZANさん?

『ZANでござる。 ガフ』

がふ?

『た、ただいまヒルデベアと交戦中出ござる世』

「誤変換w」

もしもーし、誤変換が多いですよー。

『・・・・・・』

あ、あれはショートカットだから問題ないみたいですね。

「いや、それはいいんですが」

『ふううう』

あ、チャンネルが回復したようです。ZANさん?

『こ、こちら材料調達班』

ああ、ZANさん、ヒルデベアは取れました?

『・・・・・・』

あれ?

『やっぱり無理でござるよ』

ええー。そんなー。ZANさんが材料持ってきてくれなきゃ。この番組成り立たないじゃないですか。

「そうですよ。ラグオルの森の王様といわれるヒルデベア、その中でも特に首の味は絶品なんですからここはそう簡単にあきらめてもらいたくないですね」

え? ヒルデベアの鍋って、首で作るんですか?

「天然のダシが効いてますからね。おいしいですよ」

はー、それはZANさんにはぜひともがんばってもらわないといけませんね。

『…そんなこといわれてもでござるな』



『Lv.91で一人でUltってのはちょっと…無理が』

「OKOK」

あ、これもショートカットですね?

「なんとかなりますから、がんばってください」

がんばってくださーい。

『そうかー』(基本的に女にアマイ(爆))

そうそう

「OKOK」

『では、参る!』

「ごー」

『(ガツンっ「ぐおぉお」グシャ)』

……

「……」

『…シクシク』

えー、ではPSO食いしん坊万歳(マンセー)。また来週もみてくださいねー

「んっが、くっくっ」



「「「「……」」」」
「ああ! なぜ皆無言なのでござる?!?!」

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ZERO・DIVIDE


マキシマムアタックも10倍期間も終了し、ちょっと一息と思ったら、すぐに新規アイテムの追加があった。
なんでもはるか遠くのグラール太陽系は大混乱の様子だったが、こちらは全く問題ない。
そう、問題はないのだが…。
「問題なのは、新規アイテムが出ないことなのでござるよなぁ」
拙者がそうぼやくと疲れた顔をしたセルパが深いため息をつく。
「まったくです…」
考えてみればセルパは、シンセスタを手に入れるために来てたんだよな…。
「新規ドロップがどうなってるか分からない今、自分はどうしたらいいのでしょう?」
帰れば?とはいえないしな…むう。
拙者がそんなことを思案していると、がちゃりとドアが開いてDANが帰ってきた。
すでにケーキの効果は切れており、普段のジジイに戻っている。…やはりこの方が精神衛生上よろしい。
「ふぉ? なんじゃ、二人ともおったのか」
「あ、ああ。…DAN、おぬしはどこか行って来たのでござるか?」
「あー…うむ。ちょいちょいっとな。そうじゃ、おぬしら、ゼロディバイドというのを知ッとるかの?」
「むう、ゼロディバイドでござるか?!」
「なにい、知っているのか雷電!?」
誰が雷電だ、誰が。
「その昔、ある科学者が作った攻撃性プログラムZURU、その暴走を止めるべく送り込まれた攻性プログラム達の死闘、それがゼロディバイドでござる」
「…違います。ゼロディバイドというのは確か…新種のトンファーっ」
「そうそう、そっちじゃ」
「まだいくつもの新アイテム同様、ぜんぜん蔭も形も見てな―――」
「でたぞい」
「―――い?」
かなり面白い顔してるぞ、セルパ殿。うむ、皆に見せられないのが残念なほどに。

ご報告

拙者とPSO2α2その00をUp。多分すぐ次アップしちゃうけど。

CAPTAIN DAN #03 決戦! 天災ウィケッドの罠!!(後編)

対決、そして
カランコロンカラン♪
ドアの上に付いたカウベルが来店者を伝える。喫茶店ハイランド、そのマスターであるハイアームズが振り返ると
、そこにはリューカの逆光を背に細い孤影が立っていた。
黒いフォース用のローブの小脇にケーキのコンテナボックスを抱え、青白い顔はなにやらいつもより上気している。瞳はキラキラと輝き、細く長い眉は喜びに踊るようにキレイなカーブを描いている。
「ハッハッハッハッハ…! 自然と笑みがこぼれるね!」
覗き込んだ店内には、なんだか店先を気にするマスターと、口を大きく開けて驚いている千吏であった。
「お、翡翠とZANがいないな…よぉし、ささ、千吏今のうちに―――」
「そこまでだハカセ!」
鋭い声がテーブルに飛ぶ。
「ぬ?」
顔を上げたウィケッドの視線の先に、カウンターでコーヒーをたしなむスペースマンがいた。
「貴様! …DANか!!」
「そう、レンジャーのDAN。貴様のケーキを食べてこうなった貴重な例さ」
「いや、いっぱい例はあるが…まあ、生きていたのはめずらしいな」
ぼそりととんでもないことを言うウィケッド。
「何故貴様がここに…クッ、あのアンドロイドめっ」
「ZANから全てをきいたぞ。その悪魔の食べ物、けして未来ある少年に食べさせるわけにはいかん!」
「いやいや、未来があるからこそ、だ」
「む…?」
「なあ、千吏よ。強くなりたいのであろう?」
「ほよ! 強くなりたいっす!」
力強く答える少年に、天災は我が意を得たりと頷いた。
「そう、ならばかなえてやるさ」
そこでDANが割って入った。
「ではハカセ、天災と名高いオマエのことだ」
「天才!!」
「どうせ用意したケーキは一つではないのだろう?」
「無論…なにがいいたい? たしかにここにケーキ・チョコ・キャンディの三種類で―――」
「ではその一つをオマエに食べてもらおうか?」
「―――倉庫の品を合わせると36個になるが。……まて、何故そのような必要がある?」
「なに、そのその効果を彼に知ってもらうには一番だとおもったのだがね?」
二人の間に見えない火花が飛び散る。
「…フ」
不敵に微笑んだのは天災の名を欲しい侭にする科学者だった。
「ならば良いさ、食って進ぜよう」
「……」
DANは無言、だがその頬には一粒の汗が流れている。
ウィケッドは内心してやったりと思っていた。
フ、考えが甘いな。…こんなこともあろうかと、ダミーとして普通のケーキを作っておいたのだ。
『こんなこともあろうかと』それは科学者にとって誰でも一度は夢見る名台詞である。それを使えた喜びをかみしめつつ、ウィケッドはケーキの入った紙箱を二つ。テーブルの上に置く。
「はわ。これが師匠の手作り!!」
千吏が覗き込むと確かにそこには一つづつ、ケーキが入っていた。
「ふむ、では…ハイアームズ、厨房を借りるぞ」
DANがその箱をひょいと取り上げる。
「こ、こら、なにをする!」
「なに、ちょっと皿に盛ってくるだけさ。座って待ってろ」
「……ぐ」
「♪~」
「さ、待たせたな」
二人の前にケーキを出す。
「…あー、DAN、どっちがどっちの箱に入ってたかね?」
「ん? なにかそれが関係あるのか?」
「いやいやいや、なにもないぞ、うん!」
「でもすごいおいしそうですー」
千吏が嬉しそうに手を出す。
「ああ、いつもみんなで作ってるからな」
「皆?」
「なるほど、BPって内職してるのか、ヒマな時は…」
ハイアームズの一言で皆の頭の中にメレンゲをかき混ぜるスゥとかチョコレートを湯煎するキリークが浮かぶ。
「内職…」
DANがうなる。
「…いや、それはちがう」
ウィケッドも頭を抱える。
「お師様も苦労してるんですね…」
「せ、先月のMAの件で減給されたのだよ…」
(※筆者注:この件について詳しくはウィケッドのブログを参照されたい)
「大変だな…ハカセ」
「大変ですね、天災さん」
「大変ですね、お師様」
「うむ、給料がいつもの半分くらいだったナ…って 誰だ! いましれっと天災といったのはっ!」
吼えるウィケッドをしれっと無視して、ハイアームズが小首をかしげる。
「…むしろ半分で済んだほうが奇跡だと思うのですが」
「フン! 結果は良かったからなっ」
そう言って胸を張りつつ、チラリと二つのケーキを見比べるウィケッド。
どっちだ?どっちのケーキがアレだ??
印として柄の違う透明フィルムでラップしておいたのだが、それは取り払われている。
く、この身はD因子研究に明け暮れた身、どこかに違いを見つけることができるはずだ。どこかに…。
考えろウィケッド! この私の天才の脳細胞を使えば必ず打開策が浮かぶはずだ!!
逡巡した後、ハカセは結論を述べた。
「千吏、先に食べろ」
ずいぶんと浅い結論だ。だがその一言を言い終わる前にDANの鋭い声が飛ぶ。
「千吏殿、まだダメだぞ! …ハカセが食べてからだ」
「は、はいですっ」
そう、ハカセが来る前にハイアームズが聞いていたのはまさにそのことだった。彼は絶対に、ハカセより先に食べないようにと、それだけを千吏に言い含めていたのだ。
「な、ならば同時に食べよう!」
「!」
「!!」
DANとハイアームズの顔に緊張が走る。マズイ、その選択は千吏が否定できない。
二人の慌てる様子をチラリと見て、ウィケッドは自分の判断が間違ってなかったことを確信する。
「はわわ」
「さんにーいちで、放り込むのだぞ?」
「チッ、往生際が悪いぞ、ハカセ!」
そのDANの焦った声を聞いて、ウィケッドは自分の勝利を実感した。
やはりコイツもどっちがD因子いりでどっちがダミー入りかを判別できてはいないっ!
「3・2・1・0!」
ひょい、ぱく。
ほぼ同時に、二人がケーキを口にする。
もっきゅもっきゅもっきゅ、ごっくん。
「…千吏くん!」
ハイアームズが思わず声をかける。その瞬間。
「がぁっ!」
千吏が苦しげに喉を押さえた。
ごっくん。
「ふははは! 千吏、よくぞ食した! これでオマエは強くなるぞ! …運がよければ」
「く、ハカセ、やはり!!」
「残念だったなDAN! こんなこともあろうかとダミーのケーキを用意してあったのだよ!」
高笑いするハカセ。
「まあもっともだ、この帽子のほうで侵食度を調整して、抑制MAXにしてたのでな。私はそう簡単にはD因子に犯されることはないのだよ」
勝ち誇って帽子を脱いで装置を見せる。そこにはD因子研究により開発された最新の抑制装置が

決着
「……ハカセ」
千吏に覆いかぶさるようにしていたDANがゆっくりと顔を上げる。
「その帽子を外して…気分はどうかな?」
「…なに?」
「千吏くん、もういいぞ」
「ハイ。 お師さま! ガッツり美味しかったです!!」
「なっ?!」
「安心したまえ、そのケーキはゲルベゾルテという、オレの身内の本星みやげさ」
「えー」
「いい演技だったぞ。アカデミー賞ものだ。言いつけを良く守ってくれた」
「いいつけって…一体いつの間に?」
「なに、コミュニケーターでちょちょっとな…」
その言葉ではっとハイアームズが気がつく。
「…俺までひっかけましたね?」
DANがしまったという感じで肩をすくめる。
「敵を騙すにはまず味方から、だろう?」
そう、ハイアームズがこのことを知らなかった為、同時に食べるといわれてDANが驚いて見せたのが真実味を持ったのだ。
「だがそれで上手くいったようだな、ハカセ」
「・・・ぐ、自制、自制、自制!」
「ああ、ちなみに今オマエが食べたのは―――」
DANは不敵に笑う。
「―――オレの食べ残しだ」
「ぐ、ふっ! 廃棄shiたnodeは無kaったのか…」

さらば、宇宙の男
バタリ、と倒れた途端にウィケッドの体が光に包まれる―――強制転送されたのだ。
「最後の力を振り絞ったか…! あるいはBPのプロテクトか…」
「大丈夫ですかね…」
「さあな…無論D因子により何らかの変調をきたし、一週間くらいは変質でなりを収めるだろうさ、でも…」
ハイアームズに向かってDANが首を振る。
「でもこれが最後の天災とは思えない…」
「ええ、だけど『影あるところに光あり』ですよね」
その言葉にDANは苦笑で、そうだな、と答え、ため息をついた。
「だが…」
DANの顔に蔭が生じる。
「どうやらオレはここまでのようだ」
その言葉にハイアームズがはっとする。今のDANのありようは過去のソレである。D因子入りのケーキによって起こされた仮初の姿に過ぎない。そしてその刻限が迫っていることを、彼はひしひしと感じている。
もう、残された時間はあまりに少ない、いくつか手を打ったが、それも心もとなかった。
「DANさん…」
だから、後は託すしかなかった。
「頼む、ハイアームズ。これからも見守ってやってくれ…」
「…はい」
ハイアームズは静かにそして力強く頷くのであった…。

こうして、DANはまた伝説の中へ帰っていった。

だが―――

平和を願う人々が彼を必要とする時…
大船団の頂点にフォトンブラストが灯る時…彼はまた、現れる。
レイマーのDAN。パイオニア2移住計画に参画した若きスペースマン。
政府に属さず、軍に属さず、孤高を愛する一介のハンター。だが人は彼を―――

CAPTAIN DAN #02 決戦! 天災ウィケッドの罠!!(前編)

レイマーのDAN。パイオニア2移住計画に参画した若きスペースマン。政府に属さず、軍に属さず、孤高を愛する一介のハンター。だが人は、彼をCAPTAIN DANと呼ぶ。

お師様のケーキ
D因子研究所、そこはパイオニア2の研究部門、通称ラボに嘱託を受ける半官半民企業体数社による合資組織である。だが、それは表向きのことで実質はほぼ公的資金のみで運営されているラボ直属の秘密部門である。現在の責任者であるウィケッドはその職権を乱用し、日夜D因子の研究に励んでいるのだが、当然それだけでは研究所の対外的な部分は補えない。
Fo-フォース・人間・男-の千吏は、そんなことも知らずにD因子研究所に赴任してきた新人研究員であり、まっとうな研究しか今まで関わってこなかった。ウィケッドの奇行も「ああ、お師匠様ってこういうヒトなんだな」程度での認識しかしてなかった。だからこそ、こんな一言をポロリと吐いてしまったのだ。
「お師様のケーキ…僕も食べてみたいな」
場の空気が止まった。
そこはD因子研究員をはじめとしたハンターたちの溜まり場、喫茶店ハイランド。普段から流れるバロック系のBJMだけが、誰も発言できない店内に静かに漂っている。
それまで言い合いをしてたZANとウィケッドがまるでフリーズトラップを食らったように凍りついていた。
当然のように復帰したのはハカセの方が先だった。
「おお!! なんと!!」
話はちょうど、D因子研究所の三人、ZAN、翡翠、ウィケッドがラグオルで得たアイテムの中で千吏が使えそうな物をお土産として渡そうという時であった。いつものような会話の後、ちょっと口の端に上ったケーキのことから、千吏がポロッと呟いたのである。
ウィケッドは小躍りしそうなほど喜んで千吏の手を握る。
「包装して、プレゼントしてやろう!」
「ま、まて! はやまるでない、千吏殿!! ハカセ、ソレはダメだ!」
「うむ、数十個やる!!」
「ハカセッ」
「はわわわ」
ハカセとZAN、二人のあまりの剣幕に千吏が目を丸くする。
「うおし、なんなら今から造って進ぜよう。新鮮なケーキをっ!!」
カッ!と握りこぶしをラオウの如く天につきたてる。
「つくらんでいい! 翡翠殿も止めてくだされ!」
翡翠はあらまあ、という顔で呆然としている。…どうやらまだ固まってるらしい。
「何色がすきだ、千吏?」
「白が好きですw」
「フム…わかった」
ZANを無視して師弟コンビの会話が続く。
「ああ、そうだ、チョコレートとかもあるがな、ケーキでいいんだな?」
「はうっ?! ZANさん、どっちがお勧めですか?」
「どっちもダメでござるっ!!」
「なんだったらキャンディもあるぞ? フフフ」

尊敬の先にあるもの…
「うわ、お師匠様、すごい、何でも作れるんですね」
完全に尊敬の眼差しでウィケッドを見あげる千吏。
「なんだったら全部もってこようぞ?」
「い、いえさすがに全部は食べ切れません」
「ええい、だれか居ないのか! ヤツをとめられるのはっ!」
ZANが狼狽して叫ぶと、他の席の連中はそそくさと視線をそらした。皆、以前ケーキを食べた者がどうなったか、その末路は充分すぎるほど理解している。最近では近所の親が子供をしかる時に『そんなに言うことを聞かないなら、いまからウィケッドさんにケーキ作ってもらいますからね!』といって叱っているらしい。正直言って係わり合いになどなりたくはなかった。
「そんなこと言わないで、ZANさんも一緒に召し上がりませうw」
嬉しそうに千吏がいい、ZANが再びフリーズ。
「そうだな、皆で食べたほうが美味しいぞ♪」
嬉しそうにウィケッドがいい、ZANが再起動。
「のーさんきゅぅでござるっ!!」
そしてさらに嬉しそうに千吏が言い―――
「はわわ! もちろんお師匠様もご一緒にw」
―――全員がフリーズした。

最大の危機
「ぇ…」
ハカセの目が点になっている。
「皆さんと一緒♪お師様も一緒♪」
千吏は嬉しそうに小躍りしている。
「ハカセ」
「…」
「食えよ」
そこまで黙っていた翡翠がぽんと手を叩く。
「千吏ちゃんも作ったらどうかしら?」
「ほよ? ケーキですか?」
「い、いや? …あー。材料がつきてしまったなぁ? はは、これでは私の分はないなぁ」
もう、思いっきり棒読みでウィケッドが頭をかいてごまかそうとする。
「さっき数十個とかいってなかったか、お主…」
冷ややかなZANの言葉に、ウィケッドの額に脂汗が浮かぶ。
「いや…私は甘い物がニガテでな」
「塩でもミソでも用意してやるでござる」
「ではお師様、辛いケーキ作りましょうか?」
「いいえ>みんな」
「ごまかすな」
「あ、お師様、みんなで一緒に食べたらきっと美味しいですよ!」
天真爛漫に千吏がいう。悪意がないだけに今一番きっついのは彼だった。
「ZANさんも翡翠ねぇちゃまも…みんな一緒に♪」
「うむうむ、それがいい、そうしたまえ、ZAN」
ウィケッドがささっと千吏の後ろに廻って頷く。
「…」
「…ふふ」
ZANは無言。翡翠はにっこりと笑っているが、背景の黒いオーラが思いっきり拒否をしている。
「では全員そこで待っていたまえっ。すぐにもってくるからなっ!」
言い残すが早いか、ウィケッドは一目散に喫茶店を飛び出す。
「あ、待つでござるっ!」
ZANが慌てて席を立つがその瞬間、ストロボライトを焚いたような閃光がドアの向こうから差し込む。
「…リューカですわね」
「…街中で…そこまでするか、ハカセ」
「…よっぽど嬉しかったんだろうねぇ。食べてもらえる人が居て」
水を替えに来たマスター、ハイアームズがうんうんと頷く。
「自分が作ったものを喜んでもらえるのは、嬉しい物ですよ」
「いや、マスター。それおぬしのコーヒーなら納得するのでござるが…あやつのケーキはちょっと…」
「…うわさには聞いてますが…そんなにすごいんですか?」
「うむ」
「そ、即答ですか…」
そうこうしているとふいに翡翠が時計を見上げる。
「あら、すいません、私ちょっと用事があるので、これで失礼しますね」
そういってぺこりとお辞儀をするとスタスタとドアに歩いていく。
「千吏ちゃん、またね」
「はいですー」
「あ、こらまて」
再び扉の向こうから閃光。
「逃げましたね…」
「逃げたでござるな…」
残ったのはZAN、ハイアームズ、そして千吏。
「むう、拙者では止められぬ…どうすれば…」
そこでZANははっと気がついた。そうだ、彼ならあるいは―――!
「ハイアームズ殿、ちょっと思いついたでござる。彼なら、今の彼ならなんとかしてくれるかもしれぬ」
「彼? 誰です?」
「呼んでくるでござる」
そう行って喫茶店を飛び出し、また閃光。
「テレパイプ…このまま置き去りにされたんじゃないでしょうね?」
思わず呟いてしまったハイアームズであった。

緊急信号!
ZANが家に戻ると、残念ながら家には誰も居なかった。
「ク、仕方ない…」
ZANはPBクリエイトを4つ装備するとそのまま郊外の船体メンテナンスハッチへ向かう。
二重のエアロックを抜けて外へでる。
「まったく、なんでこんなことをせねばならぬのだ…」
だがそれが彼を呼び出す方法と信じて、今はソレにすがるしかない。
パイオニア02―――それは本星をあとにした、殖民の為の大宇宙船団である。
その大船団は現在、パイオニア2の惑星軌道上に展開している。紡錘形の陣を組んでいる。その天頂に位置する観測船、そこまでZANはやってきた。この船は完全自動化され、乗員はいない。
「さて…頼むぞ…」
ZANは祈るような気持ちでフォトンブラストを発動させる。無論ソレは、ファーラ。
「遥けき遠くの盟約に従い、我が前にその力を示さん…いでよっ、UNAGI!!」
その光は、何者も居ない虚空に輝きを放った。

伝説の男
カランコロンカラン♪
ドアの上に付いたカウベルが来店者を伝える。喫茶店ハイランド、そのマスターであるハイアームズが振り返ると、そこにはリューカの逆光を背に一人の偉丈夫が立っていた。
鍛え上げられた身体はぴったりとした白いスーツに包まれている。ぴんと張った背筋。付き過ぎず、絞り過ぎていないその体格は体操選手もかくやというほど見事なものだった。がっしりとした見事な骨格に、日焼けした肌。
蒼い髪の毛は彼の人格を示すようにまっすぐに天を突いている。瞳は厳しく、そして知性に満ちていた。
太い眉が強い意思をあらわし、強く結んだ口元が彼の不退転の覚悟を示してる。
「あ、あなたは…」
ハイアームズの前に、まだ駆け出しだった頃世話になったスペースマンが立っていた。
もはや本星の記録にも残っていない、伝説の男たち。
「立派になったな、ハイアームズ」
そのスペースマンから最高の賛辞が送られた。

「なぁに、まかせておけ」
「話はすべてZANから聞いた。千吏クン」
「は、はいぃ」
なぜか気をつけをしてしまう少年に、スペースマンは苦笑して肩を叩いた。
「なに、そんなに緊張しなくてもいい。キミの協力が必要だ。頼んだぞ」
「ハ、ハイィ!」
「しかしDANさん、一体どうやって…?」
「なぁに、オレに策がある。まかしておけ」
DANはいつもと同じように、白い歯を見せて笑う。あの頃と変わらぬその不適な笑みに、ハイアームズは一つ頷くと彼のために熱いコーヒーを淹れるのであった。