大都会騒動顛末記 第五話 『見ろ、人が…』

ファミレスで涼を取り、なんとか回復した拙者達は今度はパイオニア東京タワーへと向かった。
ちなみにタワー見物はハカセからお題として頂いたものである。
まあ、せっかく都会まで来たのだからたまにはいいでござろう。
「しかし拙者、ここへ来るのははるか昔以来の気がする」
大体、名所、名跡というものは地元に住んでるととんと縁の薄いものになりがちである。
「そういうもんだね…まあ東京タワーは333メートルで高さは昔から変わらないしねー。
でも地上波デジタルの為のアンテナが…」
アスは同意しているが、その知識は拙者とは格段の差があった。
さすがタワーから実家迄の距離が誰よりも近いだけのことはある。
「で、特別展望台にはこの途中の四角い展望室で料金を払って、エレベーターを乗り換えていくんだ」
「フム、左様でござるか。ではまずはそこへといってみよう」
時刻はすでに5時近く、夕闇が迫ってきていた。展望室から見下ろすにはちょうどいい時間帯である。かくして拙者達はまず、展望室へと向かう大型エレベーターに…乗ろうとしてその来客の多さに驚いた。あまりの人の量にフィロも思わず圧倒される。
「ZANさん。きょ、今日って平日だよね」
「う、うむ。そのはずでござるがーーー」
「お盆だからねー。観光客も多いみたい。ほら、外にキティラッピングのバスも来てるし」
アスの指さすほうにはなるほど、たしかにキティ柄のバス(カナリ嫌)が止まっている。
「あれ、元々は東京駅から東京タワー巡回してる鳩バスなんだよー」
やっぱりやたらと詳しい。
映画の封切り宜しく、延々と並ぶ列に続いてエレベーターに。
ぐんぐんと上っていく。途中も景色が見えて気持ちいい。なにせ鉄塔である東京タワー。見晴らしは360°、大パノラマ(死語)である。
「おお、でかいなここも」
ハカセがご満悦のように呟く。
「たしかに大したものでござる」
「でも上からだともっといい眺めだよ?」
アスの言葉にラフとハカセが目をきらきらさせる。
「よし、いこう」
特別展望台にはこの大展望室からさらにエレベーターに乗らなければならない。
拙者達はまた数分並び、エレベーターに載ることになった。
寿司詰めのエレベーター。だが搭乗列はちょうど拙者達のグループを二分する形で仕切られてしまった。
「はい、じゃあ此処までですねー。後の肩は次のエレベーターでお願いします」
太った職員がそう言って列を切ったのはちょうど拙者の後、ハカセとアスが残される形であった。
「な?! 私とマメくらいのせられるであろう?! というかお前が太ってるから一度に乗せられる数が減ってるんじゃないのか?!」
「はい、じゃあ上にあがりますー」
「こ、こらまたんか!」
だが無情にもエレベーターはそこで閉じられるのであった。
「では、上に参りますー。途中がたんと揺れることがありますが、仕様ですのでご安心下さい」
へ?
ガタン
「ワフ!? だ、大丈夫か?」
「大丈夫だ」
ガタンガタン
「…と思うでござる」
「ホントか?! ホントだな?!」
「わー、エレベーターからもいい眺めだよー? うふふ」
フィロ殿はマイペースでござった。
で、上がり着いてみると確かに絶景でござった。時期的に人が多く、アベックが二人だけの固有結界を作り上げようとしてたり、それを元気に駆け回ってく子供たちがブロークンファンタズムしてたり。子供を抑えようとする爺婆が天国に一番近いところでお迎えが近づいてきてたりしていた。
だがそれらを忘れさせるほど、素晴らしい眺めであった。
「ワフ! 人がゴミのよう!」
ラフ、しっぽふりすぎ。
そうこうしていると次の便が到着して、アスとハカセが吐き出された。
「ううう、ひどい目に遭った」
「なんだ? どうしたでござる?」
「いや、戦力的に分散されたおかげで少々…く、大体なんだあの太った添乗員は?! あやつが乗ってなければ我ら二人位ちゃんと乗れたであろうに!」
ああ、それは拙者も思ったさ。
「まあ、ハカセ、すんでしまったことはしょうがない。夜景を楽しむでござるよ」
さて、展望台といえばどこにでもあるのが時限式の双眼鏡である。昔から子供の小銭を巻き上げるニクイ機械である。
「ふむ…近ごろの望遠鏡はカメラ式なのでござるな」
ここに設置されているのはのぞき込むタイプではなく、複数人数で観賞できるモニタカメラ式になっていた。電子ズーム。オートフォーカスタイプの優れものである。
「これは見るしかないねぇ」
「だな」
拙者とアスは嬉々として小銭を投入すると、モニタに夜景が映し出される。
「おー」
「でもちょっと面白くないな…」
「ワフ! 花火!」
え?と振り返ると確かに北の方で花火があがっている。
「アスバル!」
「はいはい~♪」
ささっとアスバルがそっちの方に望遠鏡を向ける。が、あまりに遠い為ちょっとぶれるとすぐにファインダーから花火の地点が逃げてしまう。拙者はそれに気がつくとがしっと望遠鏡の筒を固定した。
「これでどうだ?」
「ばっちし」
こうして、夜景を楽しんだ後、拙者達はタワーを後にした。
すでに日は堕ち、とっぷりと暗くなっていた。

つづく・・・

スポンサーサイト

CAPTAIN DAN

レイマーのDAN。パイオニア2移住計画に参画した若きスペースマン。政府に属さず、軍に属さず、孤高を愛する一介のハンター。だが人は、彼をCAPTAIN DANと呼ぶ。
サンプルD080601
セルパは階段を駆け上がるは大慌てで襖に手をかける。まったくなんでこんなことに…。
彼女の脳裏に浮かぶのは冷蔵庫の中に厳重に保存されたサンプルである。彼女は軍から臨時派遣(期間無期限)でパイオニア2に着任している。サンプルは、来週早々にも軍の上司に(無記名で)送り付ける手はずになっていたものだった。それが…。
「ZAN、緊急事態です」
襖をあけるとアンドロイドのZANは畳の上で刀の手入れをしていたが、セルパの切迫した声に顔を上げる。
「何事でござる?」
「サンプルD080601が消失しました」
「サンプルD080601…ハカセのケーキか?!」

ハカセのケーキ
セルパとZANは急いで1Fの台所に降りていった。そこには昭和初期の白くて角の丸い2ドアの冷蔵庫が置いてある。無論、自動霜取機能はない。
ZANはがちゃりと下の大きなドアをあけると野菜室の引き出しを開ける。
「…ここにいれてあったでござるな?」
「ええ、あれが勝手に動き出したという前例はありません。何者かがここから抜き去ったと見るべきでしょう」
「なんということだ。ハカセのケーキはD因子を含み、食べたものを内面的にも外面的にも変質させてしまう恐ろしい物質だぞ…む?」
「なにか?」
「これは…この箱は拙者はあずかり知らぬが?」
「ああ、それは先日ゲルベゾルテが送ってきてくれた本星の有名店のケーキですね。DANが後で食べようと冷やしておいたものかと」
二人の顔にいやぁな汗が浮かぶ。
「まさか…」
「そんな…」
そう二人が漏らしたとき、居間の方から苦しげな声が!

地獄の苦しみ
「DANの声だ!」
矢のようにZANが駆け出す。人間の身体能力を大きく上回るアンドロイドの彼はまさに流れるような動きで居間へと駆け込んだ。そこではDANが跪いてうめき声を上げていた。
「じじい! しっかりするでござる!」
そう言って近寄ろうとするZANをセルパが後ろから止める。
「まって下さい、どのような変化があるかは分かりません! 近づくのは危険です!」
セルパの目にもZANのセンサーアイにも机の上のケーキは写っていた。その横に無造作に開かれた箱はにはサンプルD080601と書かれている。
「ぐぅぅおぉぉぉおぉおぉおぉぉぅっ」
獣のようなうなり声を上げるDANその表情は入り口からは伺い知ることができない。ただその肩が小刻みに震えていることから、相当の苦しみを伺うことしかできないのだ。
「ぐぐぅぐ、うえぇええっぷっ」
「ドリフのコント?」
セルパが冷静な突っ込みを入れるがさすがに部屋に入っていくのは躊躇われた。
ZANもハリセンを投擲するべきかどうか思案に暮れていたが、するとうめき声が止まっていることに気がつく。
「だ、DAN?」
「うっく…ひ、ひどくまずかったぞ、このケーキ…」
「そこか?そこなのでござるか?!」
「フム、『サンプルD80601、味は最悪』っと…」

その姿は…
ログを取るセルパはそのメモの手を止めてDANを見ると目を見張った。
「ああ、まったく、本星ではいつの間にこんな味が主流になったんだ? こんなの統治宣言の前にも口にしたことないぞ、オレは」
「…だ、DAN…おぬしその姿……」
「ん? なんだZAN オレがどうかしたのか?」
DANはそういうと自分の身体を見下ろした。鍛え上げられた身体、ぴんと張った背筋。付き過ぎず、絞り過ぎていないその体格は体操選手もかくやというほど見事なものだった。がっしりとした見事な骨格に日焼けした肌。
「ん?」
その肌の艶は間違いなく青年のものだ。DANは自分の顔に触ったり、髪の毛をいじったりしている。
「DAN、これを」
セルパが手鏡をかざす。
そこに映っているのは50年のハンター生活を送った鋭い眼光と巌のような顔の老人ではなく、若く活力にあふれ精気みなぎる目とまだ幼さが覗くが凛々しく強い意思にあふれた青年の顔であった。
「…ふむ、どうやら若返ったらしいな」
DANが顎に手を当てて考え込む。
「な、なんですってーーー?!」
セルパが怒髪天を衝いた。
「ハカセのD因子が変な方向に働くのは知っていますがこんな現象は初めてです! いや、それよりもっ!!」
びしっと指さす。
「あなたの若かった頃がこんな好青年だったなんて信じられませんッ」
「ああ、なるほど、あのケーキはハカセのものだったか。フム、D因子が人体に及ぼす影響としては特異活性化があるのは知っているが…どうやらこのケーキのD因子はかなり弱まってたらしいな。多分その為に活性化が細胞変異までは至らず、活性化、老化復旧までに留まったのではないかな?」
「な?! そんな洞察がなんであなたの口から…? あなた本当にあのDAN?」
「そうは言われてもな。…ほら、これが昔の写真だ」
そう言って首からかけていたロケットを外し、中の写真を見せる。
色あせた、今どき珍しい2Dのフィルム写真に若い三人の男女が、銀色の宇宙艇を背景に写っている。
中央の青年はまさに今ZANとセルパの前に立っている男だった。
「…この御仁たちは?」
「我が愛機遊星号とその仲間さ。ちなみにそこに映ってる細い女性が若かりし日の某飯店のマスターだよ」
最高のいたずらを成功させた少年のような笑みでニカリと笑う。白い歯がまぶしかった。
「フム、たしかに骨格が一致するでござるな…ってDAN?! おぬし一体…?」
「まだコーラルが統一されていない時代、10カ国連合が局地戦争の収拾に躍起になってた頃の話しさ。まあ、ちょっとばかり年期が入ってるスペースマンだったってことだよ」
そういって肩をすくめる。
「さて、それじゃあ天気もいいことだし、ちょっとラグオルまで行ってみるか」

CAPTAIN・DAN
アスバルとユーグは総督府の作戦、マキシマムアタックの個人撃破数を稼ぐ為、普段は通らないルートを使って一気に撃は数を確保しようと画策していた。
このルートの敵は多く、手ごわかった。それでも普段ならさほど困りはしなかっただろう。
今回の欠点は互いにFO同士のペアだったこと。その一点だけだ。
ユーグは元来戦闘主体のFOである。それも武器を使っての戦闘をメインとし、テクニックを補助として使う所謂「殴りFO」。それに対してアスバルは標準的なテク中心、支援系を得意とする
「支援型FO」。その組み合わせであるがゆえに雑魚が頻発した直後に大型のエネミーが複数出現した場合、一つのミスが連鎖的にミスを生むことになる。
この場合、アスバルがたった一度、詠唱をキャンセルさせられたことにより敵の波状攻撃を許してしまった。何時やむともしれぬ攻撃を受け、互いにレスタを頻発する。防御、レスタを繰り返し、戦いはジリ貧になっていた。
緊急回避措置としてリューカを開いたものの、そのリューカの輪から今ははじき出されてしまっている。そして、そこまで行き着くのは今の二人にとって至難の業だった。
「ま、まづいね、こりゃ」
「…ウン」
二人の顔に色濃く疲弊がこびり着いている。ほんの少し、後少しだけ時間を稼げれば…。
その時、二人のもつインジケーターに3人目の表示が現れる。ハンターが共通の作戦に当たる際、互いの生命維持装置の状況を確認する為のものだ。名称はDAN。
「おじいちゃん?」
「DANさん??」
『助けに来たぞ、二人ともっ』
通信機から漏れる声はいつもと違い、やけに張りがある。
「おじいちゃん、リューカ、赤!」
『分かったっ 任せておけっ』
二人が必死の防戦を続ける中、敵めがけてスプレットニードルの針が降り注いだ。
「そら、騎兵隊の到着だっ!!」
張りのある雄叫びとともに白いスーツのレイマーがリューカから飛び出してくると、彼は敵の合間をすり抜け、こちらに向かいつつ、敵を翻弄する。
その戦いぶりはまさに手練のものだった。
あるものは凍結系のテクニックで固定し、突進してくる敵には火炎の陣のテクニックでけん制し、こちらに襲いかかる敵を背後からスプレットニードルで固着する。
それだけで攻勢はあっという間に反転した。アスバルが支援と雷のテクニックを、ユーグが手にした鎌を振るう。敵は瞬く間に殲滅された。
肩で息をつく二人に、白いスーツのレイマーは手を振って挨拶した。
「やあ、またせたな諸君!」
「「…誰?」」
「ハッハッハッ。誰とはご挨拶だな二人とも。……おいおいどうしたそんな顔して? ホントに分からないのか?」
「「ウン」」
「…やれやれ、困ったもんだな。インジケーターにはちゃんと映ってるだろう?」
「いや、だってこれ…おじいちゃん?」
「うむ。ハカセのケーキの製で少々若返ったが、オレだ」
「オレって…一人称まで変わってる」
「その上やたらと快活だ…」
二人が唖然として見つめていると彼はやにわに腕のインジケーターでメールを確認する。
「む、どうやらまたピンチに陥ってる仲間がいるようだ。ちょっと行ってくる!」
「え、あ、うん」
「とと、そうだ。二人にこれをやろう。がんばれよ」
そういうとDANはトリフルイドを数個づつ二人に手渡すと、リューカに乗って消えていった。
『さらばだ諸君! とおっ!』
インジケーターからDANの表示が消える。彼はまた旅立ったのだろう、仲間の危機を救う為に。
ラグオル地表にはトリフルイドを持ったまま、ぼう然と立ち尽くす。
一陣の風が彼らの間を吹き抜けていった……。

大都会騒動顛末記 第四話 灼熱のハイランド動物園

食事を終えたあと、次なる目的であるハイランド動物園へと拙者達は向かった。
本来はこのあとパイオニア東京タワーへと向かうつもりだったのだが、まだ日が高く、時間的にも余裕があるということで、時間潰しにと向かったのである。
地下鉄に揺られること数分、ハイランドへと降り立った拙者達はまたもや灼熱の太陽に焼かれることになる。
「うあ、あぢぃ…」
フィロ殿がうめき声を上げる。
商店街を抜けて動物園へと向かう道中も日差しは容赦がない。
信号待ちで立ち止まるたびに、拙者達は日陰を求めてさまよう。するとハカセがふと口を開いた。
「…ZAN、お前なんで日陰にいる?」
「そりゃ、暑いからな」
「私のような繊細なFOはともかく、お前のような武骨なロボが涼を取るなど言語道断不届き千万」
言うが早いかささっと後ろに回り込み、拙者を炎天下に突き出した。てか、普段のハカセからは考えられない腕力?! 一体何が?!
「って、暑いのでござるが…」
じりじりと照りつける太陽。焼ける装甲。
「ははは! この日陰は私が頂いた!」
「………」
「兄さん壊れてるねー」
「ほんとだねー」
フィロ、アス、見てないで助けて欲しいでござるのだが…。
そうしてハイランド動物園に着くと、拙者達は観光客を縫って様々な動物達を見る。
が、ほとんどの動物は暑さの為か身動き一つしない。快適な室温に収められているパンダが、のんべんだらりと笹を食っていたくらいである。
「やっぱハイランド動物園といえばパンダだよねぇ」
アスが何が楽しいのか分からぬがそう言ってうなづいている。
「『客寄せパンダ』というセリフもあるくらいでござる。日本に来た当時はここら辺はすごい行列だったのでござろうな」
拙者も感慨深げにうなづいてあるものを見つけた。在来パンダの系譜図である。
「………むう」
「なに? ZANさんナニ見てるの?」
「いや、系譜図なのでござるが…こうしてみるとまるでーーー」
「まるで?」
「横溝正史の世界のようでな」
「あー、『本陣殺人事件』とか?」
「そうそう、『女王蜂』とか『犬神家の一族』とかな」
しかもそろいもそろって死んでるし。
ふらふらとトリ・パンダ・トラ・サル・ゴリラと見て回ってくる。灼熱地獄はMAX寸前であった。
「ダメ…。ボクもうダメ…」
フィロがもうへろへろになって萎れ始めた。
「ワフ…あづい」
ラフも結構きつそうだ。ハカセに至っては
「………」
言葉すらない。結構深刻だ。
「どうしたものかねぇ」
まだぴんしゃんしてるのはアス位である。
「ふむ…」
拙者達が思いあぐねているとフィロががばっと顔を上げた。
「ぺんぎんー」
「?」
「ペンギン見に行こう、ペンギン」
「いや、この暑さではペンギンもだれているのでは・・・」
「大丈夫、このパンフにちゃんと『冷房の効いた部屋で快適に管理されています』ってかいてあるものっ」
俯いてたのはそれでか。で、その『冷房』の一言にラフとハカセの顔にも精気がよみがえる。
「れ、冷房・・・」
「れ~い~ぼ~~う」
いや、どちらかというとゾンビ?
とにかく拙者達はそのペンギンブースへと向かった。
ぺたり
そこは、たしかに快適だった。
ぺたり ぺたり
外界とは隔絶された空間、室内に見える温度計の数値はむしろ寒いと感じるほどである。
ぺたり ぺたり ぺたり
快適そうだった。ペンギン達は。ガラス1枚向こうのペンギン達は。
拙者達の後ろを子供連れのおばちゃんが飼育員のおっちゃんに声を掛けている。
「あの、ペンギンが見れるところは冷房が効いていると聞いたのザマスが?」
「ええ、こうやってペンギンの檻は特殊な冷房室になっていまして、快適に保たれているんです」
「え、じゃあここがそうなのザマスか?!」
「はい、そうです」
ガラス1枚向こうは極楽こちらは地獄。炎天下の攻撃はMAXに達した。
拙者達はほうほうの体でハイランド動物園を後にし、涼を頼みにファミレスへと逃げ込んだのであった。
つ、つづくぅぅ

バ、バトン(汗

姐御(Rose殿)からバトルマーチと共に送られてきました。
ZAN:はて…こ、これは拙者が応えねばならぬのか?(汗 しかしパイオニア2内で結婚とか大丈夫なのでござろうか? 総督府が頭を抱えることになりそうな気もするが…。

Q:回す人を最初に書いておく。
よ、よし、では拙者だけがネタになってもなんなので…
ハカセ(ウィケッド殿)
フィロ殿
アスバル殿
ハイアームズ殿

Q:結婚する人ならどんな人がいい?
そ、そうでござるな拙者がこう、家を空けがちなので、拙者に依存しっぱなしよりも
自立した方がいいでござろうな。

Q:結婚生活でパートナーにこれだけは守って欲しい事は?

ん、油は新鮮なモノを使ってほしいでござる。

Q:愛って何?

うたわるものらぢ…ゲッフンゲフン。えー…左様でござるな。愛とは互いを慈しむこと、
尊厳を守ること、そして支えあうことでござるな。
Rose殿には浮いた話がないなどといわれるが、まあ拙者も本星にいた頃は…
む、あまり今と変わらぬか。ヘコむな…。

Q:強いて言うなら亭主関白?カカァ天下?
…なぜだろう、パイオニア2内部では圧倒的にカカァ天下な気がするでござる。
拙者は結婚しても多分拙者のままでござろう。

Q:好きな異性のタイプは?
拙者、ハカセのような特殊な萌え属性はないが…。
きちんと意思表示をしてくれる人が好きでござる。どうもこう、内に篭られてしまうのはニガテで。

Q:パートナーが両親を引き取って面倒を見たいと言う。しかし明らかに自分とは合わない。どうする?
フム、マジメな話なのだがな、拙者の友人にソレで家庭崩壊を起こした所がある。
安請け合いは禁物でござるな。ただ、イザという時にどうするか、その差配は当人達で、よく相談して
から進めるのが肝要でござる。けして無理はしないこと。

Q:自分の両親を引き取って面倒を見なければならないのだが、あなたのパートナーは自分の両親と明らかに合わない。どうする?
その場合もまたしかり、でござるな。上にも通じる話だが、基本的には面倒を見るにしても一つ屋根の
下は難しかろうと思う。お互い距離が少しでも置けるところ、たとえカベ一枚でも隔ててあげないと
親もパートナーも参ってしまうでござるよ。

Q:パートナーとあなたの母親が言い合いになってます。どうする?

「んで、拙者の食事はどうなるのでござる?」

Q:プロポーズするとしたら何て言う?
えええ?! そんなこと考えたこともないでござるよ?!
う、ううむ…
「ま、毎朝拙者に味噌汁を作ってくだされ!」
これはなんかありきたりでござるな。
「結婚してくだされ」
ストレートだな。だがちょっと拙者のイメージと違う…。
「来るか?拙者のところへ」
これはキザ過ぎるでござるな。むう、いざとなると言葉が浮かばぬ物でござる。
 
Q:あなたが愛する人へ一言!

共にラグオルにいる皆に万感の感謝を込めて、
「共に進もう、この道の続く限り」

Q:次に回す人を他者紹介してください。

ハカセ(ウィケッド殿)…D因子研究員にしてマッドな天災。ショタ疑惑とか隠し子疑惑とか
            いろいろあり。そこらへん、どうなのヨ?
フィロ殿…ハカセの双子の弟。ほやほや。ぽわぽわ系から一転ダーク属性にチェンジするという
     ある意味婦女子のツボを抑えまくりな御仁。
アスバル殿…ブログが全然動いてないでござるな。これを気にどうぞw
ハイアームズ殿…心の友(Byタケシ=ゴーダ)。いつも(生)暖かい目で拙者達を見守ってくれる
        ナイスガイ。しかし拙者以上に噂話がないでござるな。ここらへんでズバっと
        言ってほしい物でござる。
以上。

大都会騒動顛末記 第三話「遅れてきた男」

ハカセと何とか合流した拙者たち、だが最後の難関、ラファエルがまだ東京駅でさまよっていた。
「で、今どこにいるでござる?」
『えーと、ハイパー新幹線降りて乗り換え改札ってところにいる』
「…それがどこだか聞いているのだが」
『ハッハッハッ。…わからん』
「……」
『20番線おりたとこなんだが』
だからそれ、なんの役にも立たない情報なのだが…。
「中央とか南とかあるのだが…」
『んー中央とか書いてあるな』
「中央乗り換え口でござるな?」
『ワフ』
「分かった。いまから皆で行く」
拙者はため息とともにコミュニケーターをしまいこむと皆の顔を見やる。どの顔もまるでチャレンジモードをマラソンで終えた後のようにぐったりである。
「が、がんばるでござる。ここで何とか合流すれば食事にありつけるでござるよ」
そう言って皆を連れてぞろぞろと移動。体力的に限界に近いフィロとハカセ。くっ、これだからFOという連中は…。
「アス、おぬしは存外に元気でござるな」
「んー…ペース配分してるからー」
などと修学旅行に出かけた寮生の様なことをのたもうた。よく分からんが大丈夫らしい。
そして、中央乗り換え口へと到着。コミュニケーターをとり出す。
『ワフ?』
「…いま改札の前に立っているのだが…」
『どこだ? みえねぇぞ?』
「拙者からも見あたらぬな…ハテ」
拙者が首をかしげてるとアスバルがくいくいと裾を引っ張った。
「そういうときはね、ZANさん、こうするの」
アスが拙者の端末を奪うと大きな声でこう命じた。
「ラフ、”おまわり”!」
『ワフ!』
コミュニケーターから、勢いよくターンを決める気配が感じられる。
が、駅構内の見渡せる所にターンを決める犬は見当たらない
『…はっ?!』
「なあ、おぬし本当に中央乗り換え口にいるのか?」
『中央乗り換え口? 南でなく?』
ちょっ、おまっ?!
『南乗り換え口にいるぞ?』
「…南乗り換え口でござるな? わかった。そこを動くな。息もするな」
『そ、それは無理ーーー』
「ではそこで回ってるでござるーーー”おまわり、つづけ!”」
拙者はがっくりと肩を落として皆に移動を告げる。
なんだかアレだな、引率の先生というよりは奴隷商人にでもなった気分だ。
そして南口乗り換え口に到着したところ、くるくると回る犬を発見。
こうしてとうとう全員がそろった。
なんだか少し疲れた、拙者、HucastのZAN。
割と元気だけどげんなりとしたアスこと、FOmarのアスバル。
すでに限界という感じで蹲るウィケッドの双子の弟、FOmarのフィロ。
来たばっかりで大都会に圧倒され疲弊しているハカセこと、FOmarのウィケッド。
ぐるぐる回って目を回して疲れてるラフこと、RAmarのラファエル。
以上5名が今回のパーティーである。

「よ、よし、それではまず第一の目的地に向かおう」
「まずはHP回復だね」
アスバルのその言葉にぴくん、とハカセが顔を上げる。
「あー、ZANよもや油(ゆ)とか油(ゆ)とか油(ゆ)とか言うまいな?」
ハカセが恐る恐る尋ねる。此奴はいつも拙者の後に入ると回復装置の湯が油になると騒いでいる。
…オイル風呂は間接の汚れがおちていいのでござるよ?
「油(ゆ)…まあ、油(あぶら)といえば油(あぶら)でござるな」
「…だねぇ」
拙者とアスが顔を見合わせる。
「あー、私はそんなに疲れてないから、お前らだけで入ってこい」
「まあまあそういわずに」
(むんず)
「ついてくるでござるよ」
(ずりずりずり)
「ば、ばかっ、これは着いてくるというか引きずって…こ、こすれて痛い痛いっ!」
そうやって駅を出るとむわっとした熱気が拙者達を迎えた。見上げれば大きな太陽…。
「…夏だねぇ」
「…夏でござるな……なんであんな雨降ったんだ?」
「あついよー。とけるよー。兄さんなんとかしてー」
「ふ、ふむ、といわれてもこればっかりは(汗。そ、そうだ天才印の扇子を…」
「ワフ。天災さん準備がいいな」
「天才!」
いつもの口論ーーーまったく、なんでハカセはいつも自分のことを間違えるのでござろう? おぬしはどこをどう斬っても天災だというのにーーーを聞き流しつつ、炎天下の中を歩くこと数分。
拙者達は目的地に到着した。

「…ここは?」
ハカセが訝しげに尋ねる。まだ油を警戒してるらしい。
「ここは油の専門店ーーーではなく、餃子専門店でござる」
そう拙者が言うとぴん!とラファエルがしっぽを立てた。
「おお! 佐助! ということはこれで夢が実現するんだな!!」
佐助というのは拙者のことらしい。なんでも最近ラフがはまっている「戦国バサラ2」とかいうゲームにそういうキャラが出てくるとか来ないとか。
そもそも今回の都内観光の発端はラフが夢で、「佐助と正座して向かい合って餃子を食べて、その味付けについてあーだこーだ言い合いをした」というのを見た、ことだったりする。
だったらそれを実現させてしまおう、ということで企画されていたのだ。
単純に餃子を食べるだけだとつまらないので、他にも観光と称して都会に繰り出そうというわけである。
ともあれ、まずは目的の餃子を頼んでまつこと数分。女性店員が餃子を運んできた。
「おまたせしました~」
拙者達の前に並べられていく餃子、餃子、餃子…。机の上一杯に餃子が並ぶ。
「ではいただき…どうしたでござる?」
拙者は箸を手にしようとして、ラフが眉をハの字にしてるのに気がついた。
「ラフ…?」
「佐助ぇぇ。これちがうぅぅ」
「違う? なにがでござる」
「俺が考えてたのはこう、どーーーん!とでかい餃子あ」
拙者が首をひねってると横でアスの頭に豆電球が灯った。
「一個で30個分とか、そういう奴?」
「ナイスマメ! それだ!!」
「マメ言うな!」
「ナイスガ~イ」
きいちゃいねぇし。
「フム、まあおぬしの言いたいことは分かった。だがな…」
「ナンだよ?」
「今回のメンツをバッと見渡してみろ、どう見ても食が細そうなFOが圧倒的でござる。ジャンボ餃子など無理難題に等しい」
拙者の言葉にラフの隣に座ったフィロがうんうんと頷きつつ、小さな餃子を頬張る。
「それにおぬし、ジャンボ餃子に幻想を抱きすぎでござる」
「どうしてさ?!」
「…考えても見よ、ジャンボ餃子は包む皮は大きくなっているものの、比率的には圧倒的に肉が多い。最初の一口二口は皮と一緒に食べられるから餃子の食感だろうがーーー
「だろうが?」
「ーーー真ん中の方は間違いなく、餃子の味がする炒め肉だけ、を延々と食べ続けることになるでござるよ?」
「………そだね」
よかった、犬の想像力でも絵が描けたらしい。
「まあ、何事も程々でござるよ…」
そう言って拙者も餃子に箸をつけるのだった。

しばらくすると、今度はフィロが口を開いた。
「アス、なんか苦戦してるね…」
言われて見やると確かに苦戦していた。餃子相手に。
餃子が隣同士でくっついてしまっている為、箸で割こうとするのだが、それがどうもうまくいかず、となりの皮を破ってしまい、肉が皿の上に零れ出してしまっている。
「う、うぐっ。う~~~~!」
「ZANさんと比べると偉い違いだよ?」
確かに拙者のほうは、皿の上はきれいなものである。といいうのも比較的素直に皮と皮が離れてくれたからだ。ちなみにアスと拙者は同じメニューである。
「フム、たしかに苦労してるな」
ハカセもふんふん、とのぞき込む。
「兄さんは…普通だね」
悔しそうにアスが言う。
「フ、天才だからな」
もはや誰も突っ込まない。アスは気を取り直して箸を持つ。
餃子と餃子の間に差し込み。
「……」
皆が見つめる中、一気に割く。
「あ、破れた」
「ワフ」
「破れたでござるな」
「フ、甘いな」
皆の声に一言も返せず、肩が震える。
「う~~~~~っ!」
割く。破ける。割く。破ける。割く。破ける。
「…えーと、アス、多分その、そっちの餃子の焼け具合がこっちと違ったのでござるよ」
さく、ひょい、ぱく。
「もぐもぐ…だから気にすることないでござるよ。うん」
「ZANさん、そんなに匠に箸使っておいて言うセリフじゃないと思うよ、ボク」
「んだ。『はねるのトびら』の「回転SUSHI」のコーナーに出れるんじゃね?」
なんですか、それは? すると拙者のゲスト名は…ロシア代表「ZANギエフ」??
「うわぁぁぁんっ ZANさんなんか筋肉マッチョに椅子回されちゃえばいいんだーー!」
アス、頼むから店内で叫ばないで下され。

つづくー。

大都会騒動顛末記 第二話「スペース東京駅大捜査網」

結局ハカセはスペース品川ではなく、スペース東京まで来れるということが分かった。
どうやら切符に品川と書いてあったということで慌てたらしい。コッチのほうが慌てたのだが…。
で、それにしても到着は11時53分。
「…なんか合流前に疲れたでござる」
「僕も…」
「同じく…」
やつれた顔をした拙者だが、ここである事に気がついた。
「…そういえばアヤツのことを忘れてたな」
思い出してそそくさと携帯コミュニケーターのキーを叩く。正直、この携帯端末、使い勝手があまりにも良くない。というか、拙者の手には非常に使いにくい。普通のキーボードならもちっとマシなのだが…。
「ZANさん、どしたの?」
「いや、連絡がないのでちょっとな…」
「アヤツって?」
「ラファエル殿でござる。そろそろ着く頃かと尋ねて見た」
「そういえばワスレテタね…」
フィロがああ、という顔でいう。
「なんか兄さんだけでもこんだけ疲れるのに…」
いうな、そんなこといわれたらもう何もかも投げ出して帰って寝てしまいたくなる。
(ぴろりろりん♪)
なんとなーく読みたくない予感に襲われつつも、拙者はラフからのメールを開いた。

AM11:33『ああ、もうすぐ着くようだ。行き先間違ったヤツに乗ってなかったようだ、
     さすが俺!! さすがナイスガーイ!!』

「…帰ろうかな」
「ざ、ZANさんまってーー! ボクたちを置いていかないでーーー!」
「ええい、放せマメ!」
「マメいうなーーっ! 帰るなーっ!」
「まあ、着くんだからいいんじゃない?」
「…なんか、冷ややかでござるなフィロ殿」
「うん、まーねー…コレで終わると思えないし…」
ぼそりと呟いた後半は拙者たちには聞こえなかった。
そして、11時40分。到着時間になった。拙者たちは南口乗り換え口で待機。ラフを待っていた。
と、またメールが届く。

AM11:43『ついたが、ハテ、ここは…?』

この文章でナニを別れというのだ、あのイヌは。付近に目立つ物がないか問い合わせのメールをもどかしい指で打つ。

AM11:49『んー。清算書の近く? すぐ近くにはスペース新幹線紀香江口とやらが見える』

スペース新幹線紀香江口…あ、乗換え口か…ってその乗換え口がどの乗換え口なんだか判らんではござらんかっ。
南口にいるのか? なにか目印はないのか?!

AM11:52『南…。どこが南だ?! つか天災さんと合流するよ。もう着くらしいし』

現在位置もわからんやつがどうやって合流する気だ。つか、どこにいるんだよ?!
でも確かにそんな時間で―――(ぴろりろりん♪)―――お、ハカセか。

AM11:57『着いたぞ』

ふう、これでようやく合流が ―――(ぴろりろりん♪)―――お、ラフだ。

AM11:58『えーと白いカバンで黒い服』

…誰がお主の格好を聞いているっ。そうじゃない! 目立つ構造物はないかと尋ねて―――(ぴろりろりん♪)―――お、ハカセか。

AM11:59『ええと、八重なんとかだっけな?』

軽い頭痛を覚えたが、それを隠しつつ朗らかに言う。
「なあ、フィロ殿、携帯打つの変わってくださらんか? 拙者指が痛くなってきた」
「がんばってね」
うわぁ、すっげぇいい笑顔。全然変わってくれる気ねぇでござるな。
「アス」
「パス」
…いいよ、いいよ、判ったでござるよ。拙者は向きになって携帯端末を覗き込み、キーを叩く。
とにかくハカセは八重洲口の方へ。ラフはまず現在位置を確認するでござる。
ラフからのメールの方が早かった。

PM12:00『22番戦から降りた清算書の近くだな』

「よし、じゃあまずはそっち行かなきゃね」
アスがそう言って自分のコミュニケーターを取り出すと、駅の構内見取り図を呼び出す。
「…ねぇ、ZANさん。22番線の清算書近くって言ったよね」
返事に躍起になっていた拙者が顔を上げると、アスは難しい顔をしていた。
「そうだが…どうした?」
「清算所ってやっぱり南乗り換え口と中央乗換え口にあるよ」
…で、当然22番線に上る階段もりょうほうにあるのでござるな。うむうむ。そんなこったろうと思ったでござる。
なんだろう、この脱力感は? フィロはもう座り込んでいた。
拙者は目印を尋ねた。『…目印は?』と。
返事は程なく返ってきた。

PM12:02『んー、わかってないのに余裕見えそうなのが目印』

だーかーらー! 誰がお主の事を聞いているっ!!
拙者の忍耐の限界点が近くなった時、今度はハカセからメールが届いた。ソレも立て続けに三本も。

PM12:05『さ、ついたようだ』
PM12:06『 』
PM12:07『中央乗り換え出口だよな?(汗』

本人の慌てっぷりが伝わってくるようなメールラッシュである。
その甲斐もあって、ようやくハカセと合流。
お互い初の一般区画での会合である。ハンター区画で会うのとはまた異なった感慨が浮かぶ…そんな余裕はなかった。
「よ、よかった、ようやく会えたな」
「フフフ、兄さん、こんなに心配させてくれて…やっぱりオシオキだよね?」
ゆらぁっと立ち上がるフィロ、だが拙者はげんなりしながらソレを止めた。
「気持ちはわかるがな、フィロ。ラフと合流してからにして下され」
「えーーーー」
すっごい不満そうだがここは会えて耐えてもらった。とにかくラフと合流しなければ…時刻は既に12時半を回っている。…ここまで来てはもはや致し方ない。ラフと合流を果たす為、拙者は最後の手段に出た!

(ぴっぽっぱ)

『ワフ?』
「あ、もしもしラフ? 拙者でござる。今ドコに…」
「…最初からそうすればよかったジャン」
なんかそうすると負けのような気がしたのだ、アス。

つづくっ!

大都会騒動顛末記 第一話 「スペース品川騒動」

その日、拙者たちはいつものハンターズ区画ではなく、一般区画へ、それも大都会Ship1のスペース東京駅へと向かっていた。
8月14日 午前11時30分 Ship1内スペース東京駅
「や、ZANさんおはよー。…ってどうしたのその格好?」
普段見慣れたFoの装束ではなく、一般区画用の普段着を着たアスバルが怪訝そうに拙者を伺っている。
今日は拙者も一般区画用に装甲を外しているのだが、けしてその格好が珍しかったわけではない。

拙者の膝から下がずぶ濡れだったからだ。

「いや、ガルダバル島から直行してきたのだが…出がけに雨に降られたのでござる」
「え? 観測所ではあの区画はここ一週間雨は降らないって…」
「おう。そのはずだったのだがな、ご覧の通りでござる」
拙者はずぶ濡れの折り畳み傘と足元を差し出し肩をすくめた。
「なんか初っ端からついてないねぇ」
「それだけではござらん」
「…なに?」
「ハカセからメールが着てる」
「なんて?」
拙者は携帯コミュニケーターを取り出し、ハカセからの文面を順々に見せた。

AM06:38『只今より出発する(電車の中)』
AM07:11『うわは、一度電車間違えたが順調』
AM08:51『なにやらヤバイ気がする』

「…兄さん…一体なにを」
呆れた顔でそういったのはいつの間にか到着していたフィロだった。
アスバルも当然、拙者と同じようにげっそりとしてる。気分としてはガルダバル島でヒースクリフ・フロウウェンの手記を紐解いていくのと似ている。
「なんかさー、朝ZANさん大雨に降られたらしいよ?」
「雨…こんな天気いいのに?」
拙者はその言葉に無言で傘を見せると、三人同時にため息をついた。
「「「天災だからねぇ」」」

「で、どうなったの?」
「うむ、拙者が『何があったのか』とメールで問い合わせた」

AM09:09『結局5回乗換えをするルートになった(汗)。いや、最初の特急を間違えてしまった』

「致命的ジャン!」
拙者もそう思うぞ、アス。

AM09:15『と、とりあえず聞き込み戦法でスペース東京行きのハイパー新幹線に乗った。
    …駆け込み乗車で』

「…よかった、兄さん一応乗れたんだね。で、到着時間は?」

AM09:24『11:53だ』

「ラフより遅いジャン!」
アスバルが叫ぶ。もともとの計画ではハカセの到着が11時半、ラフが11時30分となっていた。
「兄さん…で、でもまあこれで確実にスペース東京駅に着くんだから! ネ!」
「…ZANさん?」
拙者は重苦しい面持ちで首を横に振った。
「ヤツは、来ない、いや、来れないのでござる」
重々しい、まるで池上良一の激画のようなカオでおもむろに次の着信メッセージを見せた。

AM10:50『切符を見たところ、スペース品川とか書いてあるがよろしいかな?』

「……」
「……」
しばしの無言…そして…。
「ウフフ…兄さん…兄さん…兄さん…」
「ああ! フィロが反転した!?」
「おおお落ち着くでござるフィロ! こんな一般区画でフォトンを収束させては…ってなんか黒いフォトンだしっ!」
慌てて二人がかりでフィロをなだめる。
「と、とにかく今、スペース東京駅で降りるようにと言い含めたっ! だがその後に座席指定だった場合、スペース品川で降りないと乗車代+座席指定代金が発生してしまうやもしれんと思い至ったのでござる。その場合、パイオニア環状線マウントハンドを使って移動しないとならぬが土地勘ゼロのアヤツのことだ、必ず迷う!その際はスペース品川まで迎えにいくと申し付けた! もうすぐ返事が―――」
(ぴろりろりん♪)
拙者たちは食い入るようにしてコミュニケーターを覗き込んだ。

AM11:25『すまないな…。改札口に、了解した』

「「「…どっちだよっ!」」」
気がつけば、全員で突っ込んでいた。

つづく…!

PSOレインボーバトン

姐御(Rose殿)からバトンが回ってきた。素直に喜び、真摯に対応したい。

Q1. あなたのPSO歴はどのくらいかしら?
以前発売されたPC版PSO、のβからでござる。なので発売が2001年12月だから…
ベータが確か一ヶ月前の11月から…だったかな?(汗
ともかく約5年の付き合いとなる。

Q2. PSUに移行する?PSOはどうする?
移行はまだできぬ…。まだラグオルで遣り残したことがあるゆえな。
それにここには友も多い。昔(旧PC版)の友もPSUへと移住するという
話も聞いているのだが、まだすぐに、そちらに合流するというのもな…。
あやつらは待っててくれるだろう。今はまだ、目の前の事に専念したい。

Q3. PSOが与えた実生活の悪影響はある?
おお、最初の頃は睡眠時間がきつかったw なにせ初めてのネットゲームで
ペース配分がつかめずにいたゆえ。大分無理をしたモノでござる。
今はそんなでもないでござるな。ゲームは一日1時間でござる。(ぉ

Q4. PSOが与えた実生活の好影響はある?
オフのみならず、オンでも交友層が増えたことでござるな。
またPSOを通じてキータイピングが早くなったとも言える(苦笑。

Q5. PSOを始めて良かったと思っている?
思っている。様々な出会いがあり、別れがあった。喜びの再会も、怒りの断絶も、全て
拙者自身の糧となった。ここで得た縁(えにし)は何物にも変えがたく、また過ごせた時間は
幸福でもあった。ゆえに拙者はこのゲームをここまで続け、さらなる和を広めることができた。

Q6. ラグオルの愛するあの人にメッセージはある?
定番だが、挨拶をさせていただこう。全ての、拙者の関わった人々へ
「May the Unagi be with you!」

Q7 次に回す3人は誰かしら?
左様でござるな、まずは我が朋友にして腐れ縁、天災ウィケッド。
PSO以外にもミョーなところで趣味が通じてしまうハイアームズ殿。
そしてPSOをこよなく愛し、今もGC版と平行可動しているユーグ殿にお願いしたい。

このバトン、受け取ってくだされ。

誰だお前は!?

その日、ゲルベゾルテを出港ゲートの向こうへと見送ると、拙者達はタクシーで家まで向かった。
「で、あやつ今度はなにをするんじゃ?」
「なんか映画に出るとか聞いたでござるよ?」
助手席に座るDANにそう応えて横を見ると、Selpaが釈然としない顔で俯いてた。
「どうしたのでござる?」
「いえ…任務で来ている私がこうして見送るほうの立場になるとは…ちょっと複雑な心境でして」
「それはそうか…ま、まあ明日から2倍でござる。がんばれ(汗」
「はぁ…」
なんか日増しに影が薄くなっていく彼女。大丈夫か、こんなので。
拙者がそう心配したところで、タクシーは家の前に着いた。と、そこにスペースヤマト便のトラックが止まっている。
「はて? ゲルベゾルテの荷物は全部出したはずじゃがの?」
彼の荷物はほとんどが整理された。多くのアイテムは今度新人としてELD殿の所に来たハナさんこと、華浅葱殿が使ってくれることになった。実はこの女性、拙者とは本星にいた頃に些か縁があった。まさか彼女とパイオニア2で再会することになるとは…人生とは不思議なものである。
ともあれ、荷物の整理はすでに終わっている。では一体なんであろう?
「あ、どもー、チワッス。スペースヤマト便です」
「ああ、ご苦労様でござる」
「ZANさん、IDは…で、間違いないですか?」
「うむ。相違ござらん。…拙者宛でござるか?」
「ええ、差出人は…あれ? ぬけてるな。データミスかな?」
運転手のアンちゃんが慌てて自分の端末を調べ直す。
拙者は荷物の方をちらっと見て、その表面に無色印刷されているコード表で確認する。
「ああ、構わんでござるよ。こちらで受け取るでござる」
「え、いいですか、いやぁ、助かります」
胸をなで下ろしたアンちゃんが、愛想笑いを浮かべつつ受領書を差し出す。
拙者はサインとデータ刻印をうち、商品を受領した。
「一体なんです、ZAN。ずいぶんと大きな荷物ですが」
商品は拙者がすっぽり入るほどの大きさの箱で、白い紙で包まれている。
「うむ、里から試験用の外装を送り付けてきたらしい」
「里? 外装?」
「ああ、拙者の製造元の事でござる。で、中身はラグオルで用いる追加兵装システムの基本パーツ一式でござるな」
拙者は紙の表面に描かれたパターンコードを解析しつつ応える。普通の人間が見たら用紙の表面に多少のむらがあるようにしか見えないが、そこには梱包ぶつの概要、開封手順から里の懐かしい面々のメッセージまで、明確に刻まれている。
どうやら皆元気らしい。安心する。
「なるほど、つまりその中には特殊な兵装が入っていると?」
「まあ、そおでござるな。要するにこれは拙者の基本仕様を…いや、説明するより実際に着けた方が早いでござるな」
拙者はそう言って受け取ったカーゴを搬送機に載せてもらうと、ジャッキアップで拙者の部屋に直接放り込む。
「じゃ、行ってくるでござる」
バタン(玄関)。パタパタパタ(足音)。パタム(ドア)。ピカァ!(閃光)
「うお、目が、目がぁ!?」
「DAN、あなたのヘルメットは対閃光防御も兼ねていると記憶しています。おふざけは大概に」
「…乗りが悪いのう。そんなこっちゃ適齢期逃がすぞい?」
「……なにが?」
「い、いや何でもない! 何でもないからカスタムレイをしまえ!」
パタム(ドア)。げんげんげんげん(足音)。バタン(玄関)。
「や、お待たせでござる」
拙者がしゅたっと手を上げると二人(なぜかジジイが額に銃を押し付けられている)が異口同音でこう言った。
「「…だれだお前は」」
見事に声がハモってた。仲いいんじゃないか? ほんとは。
「誰って、拙者でござ…ああ?!」
拙者は言われて気がついた。これでは二人が分からないのも無理がない。

「なんでカラー設定が白なのでござる!」

二人は突っ伏した。
「い、いや、そうじゃなくて。その形のほうじゃ!」
「そうです、ZAN(仮定)、それはどう見てもRaCastです」
「ん、そう見えるなら問題ないでござるな」
拙者は恰幅のよくなった肩を揺すらせて誇らしげに頷いた。
「これは拙者の追加装甲状態でござる。要するにRa用装備を装着する為のアタッチメント装甲でござるな…色が白く設定されているのは…開発者の趣味らしい。『フルアーマーといえばこの色だろう』と…なんのことでござろうな? …あれ? 二人とも、どうした? 頭抱えて」
「「…まちがってるからそれ」」
「…な、なにも間違ってないでござるよ? 今の説明で―――」
「何を言っているんです。フルアーマーといえば白ではなくグレーでしょう。スプリット迷彩にするのも良しです」
「いやいや、フルアーマーといえば元祖、緑じゃろう!」
?? なんのことだ?
「ぬう、DANあなたのセンスは古すぎます。そもそもあの緑もアーミーカラーをそのまま持ってきたリアルタイプ嗜好の流れ、ただそれだけではありませんか。あの大きさで低視認性迷彩効果を狙ったとでも?」
「なにをいうっ。それを言ったらあのグレー装甲は装着運用試験用に過ぎず、増加装甲というのもおこがましいではないかっ」
「あ、あのー、二人とも一体何を…」
「それにあのミサイルベイってなんです! あんな狭い中になにが入っているって言うんですかっ!」
「めったやたらに装甲着けて変形機能阻害するような粗悪品が! だいたい増加装甲の癖に基本装甲から丸ごと交換してしまって、どこが増加装甲じゃ!」
うわぁ、二人ともめちゃめちゃヒートアップ……銃まで取り出しちゃってるよ。
…またご近所さんから苦情が来る前に、ラグオルに出かけるとしよう…。

幻のキリ番

さて、ソウルバニッシュの悪夢から明けて二日目。
今日はチームのMA4ランキングを上げるべく、チームリーダーのふぉにゅのてぃふる殿とMA4に潜っていた。
拙者の所属するチームは抹茶。である。
…もう皆覚えてないかもしれぬが、拙者がD因子研究所似所属しているのはあやつの非道なる所業に拠るものなのでござる。まあ、それもセイレーングラスハンマーを近藤が落とすまで…と思って付き合っていたのだがコレガ全然でてないっ。何度あやつとチームクエに潜っても潜っても潜っても潜っても、一向にコンドリューがでないのである!
「…乱獲がたたって絶滅したか?」と危ぶむほどでござる。いやはや…。
まあそんなわけで研究所出向が続いてる拙者ではあるが、珍しく本社の社長…いや、ちがったチームリーダーからお声がかかったのでござる。
「とにかく、抹茶の存在を世に知らしめる為、撃破数を稼いでランクインさせるにゅ!」
…語尾はあまり気にしないで頂きたい。
号令一下、大掃討作戦が…はじまらなかった。
なにせ抹茶とはまったりチャレンジロビーの略号である。
普段は初心者相手にチャレンジ同行などをするメンツの集まりなのである。
なかにはβから参加してるがチャレンジしか普段やらないからいまだにレベルが20代とかいう
ピーターパンもいる始末。正直士気はあまり高くなかった。
「そこでZANにゅ! お前の無駄に高い攻撃力があれば…まあ、100位くらいには食い込めるにゅ?」
そこで拙者に尋ねないで頂きたい。
しかし、そこは大恩ある抹茶の為。拙者もハカセに断って一時的にチームに復帰した。
余談だがチームフラッグがエルフ耳の巫女さんなのは拙者の趣味ではない。違う。違うんですよ?
で、昨日はそんなてぃふる殿とビデオカードの試験も兼ねて潜っていたところ、ぴろりろりんとメールが…。
聖心「ZANさん、キリ番げっと、おめでとうございます!」
「へ? キリ番?? なんのーーー」
「ZAN! 後ろ後ろー!」
ぞりっ
ああ、ケタケタと笑うリリーの声を耳に、目の前が真っ赤に染まりZANは崩れ落ちた>14へ
なんじゃそりゃーー!
「戦闘中に気を抜くからにゅ」
いや、だって、ねえ?
「い、いや、メールでキリ番おめでとうとか…」
「? キリ番とったにゅ?」
「いや、そんな覚えないのでござるが…」
「しらべてみるにゅ」
そう言うとてぃふる殿は器用にぐるぐると敵を回避することに専念し始める。
多分いま、目まぐるしく画面をひらき、WEBの確認をしているのだろう。
拙者は有象無象どもを刈り取るべく、赤のソード(微属性)を振り回した。
部屋を完全に制圧すると、てぃふる殿はそのまますたすたと次の部屋へ…。おいおい(汗
慌てて続く拙者。そしてまた回避に専念。制圧に専念。ここらへん、さすが酒飲みながらチャレンジできてしまう抹茶メンバーのリーダーである。
「にゅ、たしかにZANと名が載ってるにゅ!」
「おおう?!」
「…でもIDが違うにゅ」
「おおう(涙」
ぴろりろりん
聖心「ごめんなさいっ チャットログ見てみたらIDが違う別人でした! >w<」
全く、世に娯楽の種はつきぬまじ、でござるなぁ。

キラードラゴン・鎮魂鎌

そんなおかんの一言で拙者達は部屋を移り、EP4のクレーター外周へとやってきた。
「まずは。小手調べでござるな…」
そう言って拙者はブータを誘い、橋の向こう側におびき寄せる。此処からだと双方直接攻撃は届かない。
遠距離攻撃でもあるメギドを試すには持って来いである。
拙者は早速ソウル・バニッシュを手に取った。その刀身は怪しく濡れている。黒いフォトン、D型フォトン因子がまるで残滓のように纏わりついている。心弱き者が覗き込めばたちまちその刀身の中に引き込まれてしまうであろう。

目を瞑る。
脳裏に浮かぶのは辛い日々アレ(リリーに笑われつつ、赤い淵に沈む拙者)やコレ(わざとらしく耳元を掠めていくハカセやアスバルのメギド)である。
息を整える。
それらの想いを鎮め、全身の電節を一旦弛緩させ、しかる後に力を溜めていく。
イメージを想起する。長い短冊にして水を含ませた和紙、それを二枚、細く細く、撚り合わせていく。
紙縒(こより)を作るイメージ。長い紙縒を作るには、何よりも均一に力を加えていく事が肝要だ。熟練の職人は短冊を両手で持って「空中で」作れる。均一の撚りで造られたこよりは硬く、しなやかだ。

そして拙者は目を開けると、鎌をゆっくりと振りかぶると、目の前の敵に意識を集中する。
「ソウル(魂を鎮める)―――」
一気に振りぬく。
「―――バニッシュ(烈破の一撃)!!」

瞬間、それまで拙者の体内に発生したことのないエネルギーの奔流が生まれる。低く重い唸りをあげて全身を駆け巡るソレはまるで暴風のように荒れ狂う。巨大な力をねじ伏せ、刃筋に意識を集中する。するとその力は自然と濡れた刀身に収束していく。荒れ狂う力が何かをごっそりと奪っていく瞬時にセルフチェックプログラムが警告をあげた。HPが急速に減少。いや、吸い取られている。これが代償か!

その瞬間、刀身に変化が生じる。纏わり着いていたD型フォトンが増殖した。まるでその刀身から流れ出すように。そしてソレは球体となり、敵に向かって一直線に飛んでいく。

ぽよん・ふよふよふよ・しょり・ふよふよふよ

「……」
「……」
「……ぷ」

三人は沈黙した、だがその沈黙は二種類に分かれていた。驚愕と、失笑をこらえるのと。
てか、最後に笑ったろ、シャルテ殿。

なんだ、なんだこれは? 今なにが起こった。
おちつけ、おちつけ拙者。そう、先生も言っていたではござらんか「困難な出来事に出会ったら、まず落ち着いて、それからよく考えること」と。
よし、では落ち着こう。落ち着けば、落ち着くとき。落ち着いた。
そして良く考える。
オーライ。まず拙者が手にしているのは? ソウルバニッシュだ。
そしてそのEXは? 無論メギドだ。
では拙者は今なにをした? ソウルバニッシュを使い、EX攻撃を行った。
その結果導き出されることは? 拙者はメギドを撃った。ERRER!
違う。アレは違う。アレは拙者の知っているメギドではない。
OK、ではそこを検証しよう。
まず、紫色の球体を発生させた。あれはD型因子か? YES
アレの大きさは? 直径約12cm。
アレの発生後の動きは? 直進して、敵を貫通した。
アレは敵を殲滅したか? NO
アレは敵にダメージを与えたか? NO!
アレは敵を活動停止にしたか? NO!!

「結論、これはメギドではござらん」
「い、いや、メギドだから…」
シャーウィン殿が涙声で拙者に突っ込みを入れる。だがそれは無論、笑いをこらえての涙声だ。
「ざ、ZANさん、絶対、メギドってあーいうの考えてたでしょ?」
※あーいうの=ハカセとかのアレ
「うむ」
「……」
「……ぷぷっ」
だからおかん! それすっごいきっついでござるよ!
「…ち、ちがうのか?!」
「だ、だからね、そのソウルバニッシュが撃てるの、Lv3メギドなの」
「れべるさん…ではその…あれは?」
※※アレ=ハカセとかのアレ
「アレは…ん、Lv28~30かな?」

なるほど、それだけ差があるのか。納得。解を得た。

拙者は手にした鎌をじっと見つめた。
―――Trust me, my master. (我を信じよ)

我が意を得たり。
再び構えを取る。
「ざ、ZANさん?!」
一意専心。明鏡止水。スーパーモード。
もう雑音は聞こえない。

「うおおおおっ!」
振るう。力を込めて振るう。
ぽよん・ふよふよふよ・しょり・ふよふよふよ
だが敵は倒れない。

「うおおおおっ!」
振るう。渾身の力を、魂を込めて振るう。
ぽよん・ふよふよふよ・しょり・ふよふよふよ
だが敵は倒れない。

「うおおおおっ!」
振り上げる、シャルテ殿が一心に捲っていた薄い本を、あるページでぴたりととめた。
「あ、ブータって闇耐性85もあるんですねぇ」
ぷつん。ぱたり。
倒れた! …拙者が。
「あ、それいい気になって使い続けるとHPが0に…って注意する前に倒れてる?!」
拙者はこうして赤い淵に沈んだ。

片手間MA4と空飛ぶ天災




倍の二倍期間も最終日。これまでぜんぜん何もでなかった拙者であったが昨日から開放台にあたったパチスロのようにじゃんじゃんばりばり。今日もいいことありそうだと、浮世のしがらみ投げ捨てて、やってきましたラグオルに。(漫談口調)

で、出土したもの一覧
ストライカープラス    シャーウィン殿に献上
ヘブンストライカーの塗膜 シャーウィン殿に献上
クリムゾンコート     二個出たので一個拙者が頂いた。

だが、肝心のレアウェポンがまだ主立ったものが出てなかった。
「拙者も武器とか欲しいでござるな、ノダチとか」
そんなことを吐露したところ、それではといって「おかん」ことシャルテ殿が部屋を作ってくれた。
彼女のIDは水色、ギグーから封印ノダチが狙えるIDである。
拙者達は意気揚々と中央管制区へと乗り込んでいった。

死闘をくりぬけ、ついに制御塔まで制覇した拙者達はついにSWをゲットする。
「ソウルバニッシュ、でござるか」
鑑定結果にちょっと落胆する拙者。ソウルバニッシュはその名の通りソウルイーターの上位にあたる鎌である。詳しい性能はしらないが、似通った性能の鎌をすでにEP2チャレンジで手に入れていたからだ。
だがその落胆もシャーウィン殿の一言でがらりと変わった。
「でもこれ、EXでメギドが打てるのよね」
メギド、それは魔法。メギド、それは呪文。現代科学の粋を凝らして作られた拙者にとって唯一手にすることの適わぬ人の技。奇跡の担い手によってのみ具現化する絶対死の秘術。
その威力はこの身に深く刻まれている。リリーとかリリーとか…あとハカセとか。
だいたいアレ(ハカセ)とかアレ(フィロ殿)とかアレ(アスバル殿)とかが打つメギドが耳元を通り抜けていくときなど、生きた心地がせぬ(ぞりっとか音を立ててくのでござるよ)
「そうか…あれが、打てるのか…」
拙者は暗い笑いを含んだ声で呟いた。するとシャーウィン殿が普段には無く歯切れの悪い口調で尋ねてくる
「あ、あの…ZANさん?」
「うむ?」
「メギドって…アレとかアレとかアレのこと、考えてる?」
「うむ!」
また沈黙。なにやら珍しい光景である。
そんな沈黙を払拭してくれたのはおかんの一言であった。
「じゃあ、実際に試してみましょうか?」